こみみかわら版バックナンバー

第68回 能登島曲町

250能登島曲町

在所名の由来


山と海に挟まれ、海辺に集落が、山へ向って田畑が続き、在所の中を通る道は、海岸に沿って大きく曲がっているから、まぁ、地形の通り、曲と呼んだんじゃないかと思うよ。



昔と今


水の出が悪い所でね、昔は山からの表流水を井戸にためたり、深井戸を掘ったりして、在所の中は井戸がたくさんあったね。そんな時代はお風呂も毎日沸かさないし、お互い近所で貰い湯していたよ。風呂を沸かすのは「ばぎ」を焚いてね、「ばぎ」とは薪のことだよ。山にその「ばぎ」を積んで、「すんば」(杉の葉)をかぶせてあるんだけど、それを取り出して背中にかついで山から下ろすんだけど、辛かった思い出があるよ。なにしろ小学生だったからね。一時期、葉タバコの栽培が盛んで在所中で取組んだよ。きつい仕事だけど、
一年に一回収穫し、現金収入を得られ良かったんだけど、時代と共に採算がとれなくなり一斉にやめてしまったんだよ。今は七割が高齢者でね、お互い助け合って生活しているよ。青年団も「何でもしますよ」と案内を出してね、雪どけなどお年寄りで出来ないことを手助けしてくれるんだ。そして秋祭りは老いも若きもみんなで楽しむけど、特に「こっぺ」はこの在所特有でないかと思うよ。それと中島の熊甲祭りと同じ枠旗が三本あるけど、太鼓のリズムは違うみたいだね。今は人足不足で出していないけどね。



在所の自慢


封建制の強い所でね、先祖からの土地を守って生きているんだ。発展性が少ない分、結束力が強くてね、魚や野菜など、貰い、貰われ身近な支え合いをしながらだけど、そんな所が素敵だと思うね。上を見ればキリがないけど、足るを知れば本当に生活のしやすい在所だよ。