こみみかわら版バックナンバー

第85回 私の仕事は「登記官」です。

神のみぞ知る境界



私の仕事は「登記官」です。
上島 政洋(うえしま まさひろ)48歳
仕事歴 27年


登記官の仕事とは


人に戸籍や住民票があるように、土地や建物にも所在地番や面積、その所有者などをコンピュータに記録し、一般公開する不動産登記制度があります。その事務処理するのが登記官です。法務省の法務局と言う役所で行います。


二種類の境界


境界には所有権界と公法上の境界と2種類あり注意が必要です。例えばお隣同士が何らかの都合で境界をやり取りし新たな境界を決めてブロックを積んだとします。お互いに納得しているのでそこでは所有権の争いはなくあたかも境界が成立しているように思えますが、それは当事者だけで所有権を認め合っている境界であり、法務局が管理する本来の公法上の境界としては認められないのです。法務局にある土地の位置関係を示した公図や保管された地積測量図と整合が取れない境界で登記することはできないのです。神のみぞ知ると言われる、目に見えない本当の境界はどこか?私はあらゆる資料を検証し、時には現地で調査し公法上の境界を見極めていますが、国民の財産に直接関わる事なので非常に神経を使います。


時代の流れ


七尾で生まれ育ち住んでいますが、国家公務員を目指した時、地域に密着し地元に貢献できると感じたのが不動産登記や戸籍、人権擁護などの法務局の仕事だったのです。私が勤め始めた頃は不動産登記は紙の簿冊で管理されていました。その帳簿に手で書き加えるときは字が下手なのでとても緊張しました。古い時代の登記簿は全部手書きで本当に達筆に書かれています。そんな登記簿を見て冷や汗をかいていましたが、今は登記簿もコンピュータに記録されるようになり救われた思いです(笑)。不動産登記には土地の所在地番、地目や地積、建物の種類や構造、床面積などその姿、形を表す表題登記とその不動産が誰のものかを示す権利登記があります。地目を変えたり、建物を増築したり、売買や相続が行われた時など登記情報に変更があった時は所有者から申請をして頂きますが、一般的には土地家屋調査士や司法書士が代理でその手続を行っています。



相談は 親切・丁寧に!


固い法律に便利な制度


今年5月からとても便利な制度がスタートしました。「法定相続情報証明制度」です。相続登記をする際には、だれが相続人か確認するため、相続権のある人全員の戸籍や住民票から相続関係説明図を作成し、さらに遺産分割協議書に実印を押して印鑑証明書の添付が必要です。このような書面が相続登記以外にも金融機関に預けた貯金を下ろす際などに何度も何度も必要になるので、その簡便化を図った制度です。法務局で証明書を出してもらうことで、何度も戸籍を取得しなくてもよくなったのです。それと近年相続登記をしない土地建物が増え、災害復興の妨げや、空家対策など社会問題となりつつあります。最初は数人の子供が相続人でも、相続登記をしないまま放っておき世代が代わるとそれぞれの子孫にまで相続権が及び、いざ登記しようと思った時には相続関係が複雑になっていたり、その土地を売却しようしてもできなかったりと、相続が遅くなればなるほど問題が生じているのも現実です。子どもたちが将来安心して暮らせる社会を作るためにも、相続登記はお早めに!と啓蒙しています。法定相続情報証明制度の詳細や相続登記の相談は予約して来ていただければと思います。



七尾西湊合同庁舎 3階に


金沢地方法務局七尾市局登記係
☎53-1720
2017年取材