太鼓叩いて、人様寄せて、わしも言いたいことがある…。
能登半島は太鼓の宝庫だ。
在所の祭りやイベントで打ち鳴らされる太鼓。
人々は語らい、笑う。
しかし、太鼓はその土地に暮らす人々の心の叫びである。
古来人々は、生きるため神に祈った。
時に、食うや食わずの日照りの年には、泣きの涙で子を捨てた。
苦しい胸の内を、太鼓にぶつけ、打ち鳴らし、祈りをささげた。
能登半島の太鼓には、能登人の魂が宿る。
能登島の向田雨乞太鼓は
火祭りで有名な ここ向田の在所に伝わる。
伝統の太鼓も、少子化で担い手が少なくなり、
在所の有志が集まり、昭和63年に保存会を立ち上げた。
この精鋭が打ち鳴らす太鼓、人が集まり、絆が強まる。
大ばい 小ばい、テンポを合わせ、ばちをさばき、男前を披露する。
練習が必要だ。
伝統に創作を加え大会に臨んだ。そして優勝!!
こよなく故郷を愛し、地元に根付く男たち。
一人一人の魂が向田雨乞太鼓の音となる。