第77回 七尾市中島町外
「七尾市中島町外(そで)」
七尾北湾に面し、のと鉄道西岸駅、明治の館室木邸、
旧西岸小学校がある、58世帯、188人が暮らす在所です。
在所名の由来
「外」と書いて「そで」と読むんだが、なんで外になったのか本当の所はよく分からないんだよ。古老の話では、在所の一番山奥に外谷内(そでやち)という場所があって、そこに住んでいた先祖が現在の場所に出て外となったと言っているよ。外谷内の由来もあってね、昔は隣の小牧も含めて、海岸ではなく山裾に在所があってその地区を長崎と呼んでいたんだ。
上杉謙信が攻めてきたとき、長崎から山奥に逃れたんだね。それで長崎の外の場所へ、袂(たもと)を分けて、袖(そで)を分かつ山の奥地、そんなことからそこを外谷内と呼んでいったんではないかということだよ。
昔と今
林業と農業が中心の生活だったね。海に面しているけど漁師は一人もいなかったよ。
20年前は36世帯が田んぼしていたけど、今は11世帯しかしていなくてね、やはり少子高齢化、担い手不足の影響が出ているよ。昔はどの家も3世代が同居して子どもは3人や5人いて賑やかだったけどね。昔と世帯数は変わらないけど、人口は半分近くになっとるよ。
明治の館は、庄屋の室木邸でね。回船問屋も営んだ有力者で、私が子供の頃のだんな様は国会議員もした弁護士で、山高帽にステッキを持って歩いていた姿が印象的だったなぁ。在所の大きな事柄は室木様に相談してその一声で決まるんだ。苗字が許された時、室木様に奉公していた者がみな室木を名乗ったものだから、私も含めて在所の11世帯が室木なんだよ。
アニメ「花咲くいろは」の駅のモデルが西岸駅なのでそのファンや、ヨットハーバーもあって、休日には沢山の人が来て賑やかだけどね・・・。今年4月に町会長になって感じるけど、在所の中は益々助け合いが必要な時代だよ。長い歴史の中で外を故郷としている人が沢山いて、その人たちが全国どこにいても自分の故郷、外があるということが大事なんだ。そしてその外を守っていくためには、今ここで暮らす人たちが幸せでなければならないんだよ。「共に生きる在所」を今まで以上に考えていかないとね。微力だが一所懸命に尽力しようと思っているところだよ。
あさみの一言
笑顔が素敵な室木町会長の誠実な人柄から、住む人が幸せであり、外出身の方々が誇りに思える故郷を守り続ける決意を感じました。
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