こみみかわら版バックナンバー

第46回 「輝け!郷土の星」走高跳の亀田 実咲さん(鵬学園2年)


石川県総体優勝・北信越総体3位入賞

5月の県総体1m66で優勝、6月の北信越総体1m67で3位入賞、インターハイ出場を決めた実咲さん。インターハイでどんなジャンプを見せてくれるのか期待が高まります。

実は実咲さん、宇ノ気中学3年生の時にジュニアオリンピックで1m70を飛んで全国チャンピオンになっている期待の選手です。走高跳を始めたキッカケは中学時代に体力をつけたいと陸上部に入部。
最初は短距離を始めますが、なぜだか「走高跳したいなぁ~」と思いが募ったそうです。

小学生の時から、跳んだりはねたりして、落ち着きの無い子だと言われていたので、跳ぶことが好きだったのかもしれませんね。と可愛く笑う実咲さんですが、話を聞いていくと驚きの事実が…! 父方の祖母、母方の祖母、二人のおばあちゃんが走高跳の選手だったのです。
実咲さんはその事を後になって知ったそうです。こんな偶然があるのかと思いますが、だからこその必然だったのかもしれません。

鵬学園陸上部

進路を星稜高校陸上部と考えていましたが、競技会などで顔を合わせていた1年先輩で羽咋中の麻生京花さんが鵬学園で走高跳をしており、ここは一人一人にしっかり指導してくれるので良いよと誘われ、鵬学園に進学しました。

部員は男子5名、女子8名の少数精鋭の陸上部ですが、今春の県総体では3年生の麻生京花さんが走高跳で3位、宮脇愛果さんも走幅跳で3位、2年生の浜辺ひかりさんが400mで4位と活躍しています。1年生の時は自分の事でいっぱいでしたが、2年生になって後輩に声をかけチーム全体の事を考え、明確な目標も口にできるようになった実咲さん。
島元コーチは身体能力がまだ全体的に低いので、3年間で結果を求めるのでなく、7年スパンでのパフォーマンスに期待したいと話します。



さすが!みんな足が長い!!

走高跳

中1で1m45、中2で1m60、中3で1m70と順調に記録を伸ばしてきましたが、高校に入り自己ベストを更新できていません。走高跳はひじょうに繊細な競技で、スタート位置、歩幅、踏切位置、助走のスピード、リズム、跳ぶフォーム、全てがオリジナルです。
ビデオ撮影して、これで跳べた、これで跳べなかったと原因を探り、自分の型を探りながら確立していきます。今日はこれで良いとイメージしても、高校生の身体は日々成長していくので、そこにまた微妙なズレが生じます。

実咲さんは100mが14秒台から13秒台になり助走も力強くなりましたが、その勢いを跳躍にどう活かすか研究中です。練習は城山グランドで行ないますが、毎日跳ぶと逆にバネが無くなるので大会スケジュールに合わせて週1回から3回と調整しています。

何より跳ぶことが楽しいと思っている実咲さん、今井監督や島元コーチの時に厳しい言葉も総べて自分のために言ってもらっていると素直に受け止めます。走高跳で辛いと思ったことは無いと言い切り、 「1m75、日本一!」 と明確な旗を立て、「大ジャンプします!」 と取材を締めてくれた。あっぱれ!



精鋭!鵬 陸上部


第45回 「輝け!郷土の星」郷土研究部の梅野 乃愛さん(七尾高校3年)


石川県高等学校文化連盟郷土部で優秀賞

「郷土部」聞きなれない言葉ですが、高文連に部会として昭和35年に正式に発足した文化系の部活動です。高校生が郷土の歴史や文化、地域企業とのつながりなどから、自らテーマを設定し研究活動を行ないます。
昨年秋の研究報告会「能登の和菓子」をテーマに研究成果を発表、見事優秀賞に輝いた七尾高校郷土研究部。
7月に佐賀県で開催される全国高等学校総合文化祭に石川県代表で出場します。今回は部長の梅野乃愛さんにお話を伺いました。

陰の部活

乃愛さんが入学した時、部活紹介で当時部長だった後山愛先輩が、ここは学校中から「陰の部活」と揶揄されていて、目立たない存在感の無い部だと説明を受けました。
しかしそのプレゼンがとても上手だったことに惹かれて逆に面白そうと入部しました。先輩の研究は真剣で斬新でした。

新年度に研究テーマを決め、その中に潜む問題を探し出して、高校生なりの提言をすることを目的に活動します。
そのためにテーマについての知識が必要になりますが、先輩はインターネットの百科事典、ウィキぺディアのコピーは絶対ダメ、自分達で文献を探してこいと指導します。
文献を探すため関係者へ電話し聞取りから始まりますが、この時、郷土について知ることの難しさを実感したと振り返る乃愛さんです。



スティーブジョブズになれ!

能登の和菓子

これまでの2年間「おもてなし」に関する研究を行い、能登の旅館でのおもてなしの一つに「お着きのお菓子」があることや、校内アンケートでもおもてなしから連想するものに和菓子という回答があること、そして部員で杉森菓子舗の息子、開くんが何にもわかっていなかったことで(笑)、「能登の和菓子」を研究テーマに決めたと言います。

和菓子は金沢が有名なので加賀から能登に入ったと思いましたが、歴史が古いのはなんと能登だったことに驚きました。諸説はありますが鎌倉時代に能登の地頭、長谷部信連(のぶつら)が源頼朝に大豆飴を贈ったとあり、金沢は前田利家が入府した時に片町で餅菓子店が出来たのが始まりのようです。また洋菓子が普及し和菓子離れが進み能登では和菓子屋さんが減少していることも分かりました。そこで「能登に和菓子屋を残していくための選択」を提言しようと、機械化が進む「みそまんじゅう本舗竹内」と職人の手作業が多い「杉森菓子舗」にインタビューを行ないました。
それぞれに良さがあり判断することは難しかったですが、和菓子の歴史を調べる事で故郷の魅力に気づくことができました。

今後は能登の和菓子の魅力を多くの人に知ってもらうため、歴史やマナーなどを書いた小さなカードを作って和菓子屋さんに置いてもらう予定です。
七尾高校郷土研究部は顧問中山先生の「スティーブジョブズになれ!」を合言葉に、研究成果を総べて頭に叩き込んで資料を一切見ないで発表する姿は審査員からも高く評価されています。 
一見地味、でも、もう陰の部活とは言わせない! 目が輝く、乃愛さんです。



研究発表した6人


第44回 「輝け!郷土の星」ボートの谷一 菜緒さん(七尾高校3年)


石川県高等学校新人大会ボート競技で優勝

昨年、女子シングルスカル(一人両手漕ぎ・1000m)、4分40秒10の記録でついに優勝を成し遂げた菜緒さん。1年生の新人大会はダブルスカルに出場するも最下位、2年生の県総体でシングルスカル3位と徐々に地力をつけてきました。ボートは後向きでオールを漕ぎます。
競技で先頭に立つと他の選手の動きが見えるので心に余裕が生まれますが、最下位だと状況がまったく見えない辛いレース展開になります。

菜緒さんは今大会スタートで遅れを取ってしまいましたが、後半500mを過ぎてから先頭を捉え追い込んでいきました。
固定されたオールで水を掴み、全身の力で一気に加速し、加速しきったらオールを水から上げる一連の動作を繰り返し、体力の限界まで全力で漕ぎ切り津幡高校の原田選手に9秒差をつけての勝利でした。

きっかけ

中島中学3年生の時、父に誘われて海釣りに出かけ漕いだボートが面白かったことがきっかけとなり、ボート部がある七尾高校に進学を決めました。
部活体験では釣り用のボートと違って凄く細いボートにまずビックリします。
オールも長く、水面にも近いので恐さも感じましたが、漕いでみるとやはり楽しかったと言います。

晴れの日は七尾湾にボートを出し1時間半、雨の日は室内でウエイト、サーキット、エルゴメーターでのトレーニングです。
試合は湖水や用水路など水面が穏やかな漕艇競技場で行なわれますが、七尾高校は海での練習を余儀なくされます。波があるとバランスが崩れ思い通りの練習が出来ません。
監督の上田先生はボート競技の経験がありませんが、2級小型船舶の免許を取得し救助船を出して練習を見守ります。
めったに無い七尾湾が静水する日、「人とボートが一体となりリズミカルに水面を進む爽快感は何とも言えないんです」 と笑顔で話す菜緒さんです。



目指すはインターハイ!

七尾高校ボート部

現在、男子10名、女子12名の七尾高校ボート部は、旧制中学校の端艇部にさかのぼり100年以上の歴史を刻みます。
戦後七尾中学が新生七尾高校として発足するや昭和24年に漕艇部として復活し数々の戦績を残し平成に入りインターハイや全国高校選抜で優勝を重ね「ボートの七尾」と定評を得てきました。

昨年もOGで金大生の柿島麗さんが全日本新人選手権のシングルスカルで3位入賞をしています。
今年七尾高校120周年記念としてボート部OBよりシングル1艇と救助艇が寄贈されましたが、先輩から後輩へ物心両面に支援を続けるOBの存在が七高ボート部の伝統を支えます。

現在コーチ不在の中、見よう見まねの練習しか出来ず、技術は下手な方で力任せで漕いでいると自覚する菜緒さんですが、石川選抜に選ばれ強化練習に参加できるので、そこでしっかり学び獲得した技術を後輩に伝えたいと話します。
ボート競技は身長が高く足の長い方が有利です。160cmの菜緒さんは大きい方ではありませんが結果を出して伝統を繋ぎたいと決意します。
6月1日インターハイ予選、期待を背負い、挑む菜緒さんにエールを送ります。


伝統を繋ぐ、ボート部員!


第43回 「輝け!郷土の星」ピアノの三野 さくらさん(鹿西高校1年)


第35回日本ピアノ教育連盟ピアノオーデション全国大会出場

七尾東部中3年生だったさくらさんは北陸地区大会で選ばれ、武蔵野音大シューベルトホールでの全国大会に出場しました。これは能登から初の快挙です。
さくらさんがピアノを始めたのは幼稚園のとき、お母さんが何か習い事をとピアノ教室に連れて行きました。初めて弾けた一曲は「かっこう」でした。
ピアノは家での練習が欠かせません。さくらさんは遊びたいのにめんどうくさいなぁーと思いながらも何となく続けていました。

小学校低学年ではレッスン中によく泣きました。先生の指導が素直に受け止められず、一生懸命やっているのに何で怒られるのか?努力が否定されたと思い悔しかったのです。
それでも2年生の時、コンクールで初めて受賞したことが励みになり、高学年になると意欲が湧きレッスンにも熱が入ります。
風邪をひこうが、何があろうが毎日欠かさず2時間以上の練習を続けました。

師との出会い

さくらさんには二人の先生がいます。地元の石田ゆかり先生と東京からレッスンに来て頂く辻井雅子先生です。辻井先生は七尾市出身で桐朋学園大学音楽学部の講師です。
故郷の子供たちのレベルを上げたいと30年以上も毎月欠かさず指導に来てくれます。

そして17回目となる「石川県NOTOピアノコンクール」を立ち上げ、今年8月に七尾文化ホールで開催されるこのコンクールには全国から参加者が集います。
辻井先生にさくらさんのことを伺うと、「小さい頃はそんなに調子が良い子ではなかったけど、今は十分に期待できるまでに成長し将来が楽しみだ」と評価して頂き、「教育連盟の全国大会に出場することは並大抵なことではないのですよ」と話してくれました。



石田先生、辻井先生と

芸術&スポーツ

同じ曲を基本どおりに弾いても、人によって表現が異なりこれが正解だということはありません。
同じ「ド」でも、柔らかい、硬い、深い、可愛い、など様々な音色があり、自分の個性に合った曲を作り上げます。
さくらさんは作曲家がどういう意図でその曲を作ったのか、その物語性を感じ自分なりにどう奏でるかイメージすると言います。

コンクールでは用意されたピアノを弾きますが、一小節を弾いた瞬間にそのピアノの個性をキャッチし、指のタッチや聞こえ方などを判断し、イメージ通りにピアノを操らなければなりません。
コンクールでは緊張で前のめりにならないよう必ず大きな深呼吸をしてから演奏を始めるのが、さくらさんのルーティンです。
どれだけ練習していても本番で一音の響きにミスを生じることがあります。

さくらさんはフィギュアスケートも華やかに見えるが、本当に地道な練習を繰り返し、練習で飛べた4回転ジャンプも本番で失敗することがあるのと同じように、ピアノも自分との戦いでスポーツのようだと話してくれました。
家族も練習時間を確保するため、生活リズムを工夫して支援を惜しみません。
ピアノを通して人間的にも成長していく、さくらさんです。



緊張のステージ


第42回 「輝け!郷土の星」弓道の播摩 美里さん(鹿西高校2年)


第34回石川県高等学校弓道如月大会団体優勝

2月10日、石川県立武道館、凛とした空気が漂う弓道場。この日は終日気温が上がらず寒さとの戦いでもあった。弓を持つ手もかじかみ最悪のコンデションの中で競技が始まった。
鹿西高校の番が来た。選ばれし女子5名が射場に立ち順番に弓を引く。一人4本の矢を持ち全員で20本の矢を放つ。的に当たったは7本、休憩を挟み2度目の射場に立つ。今度は11本、計40本中18本が的中。気がつけば予選トップにたっている。決勝戦で9本、予選と決勝の計27本は、2位の金沢高校に5本差をつけての優勝だった。

鹿西高校弓道部

実は私補欠だったのです。 「えっ!」 私は驚いて声を上げてしまった。今まで補欠の選手を取材したことなどない…。
団体の場合は代表者を選んでもらい取材を行なっているが、顧問の入口先生は迷わずキャプテンの美里さんを推薦したのだ。とまどいながらも取材を進めていくうちに合点がいった。

試合こそ出場できなかったが、このキャプテンがいたから優勝できたのだ。大会で美里さんは予備の弦と矢を持つ天持を務め射場の後で試合を見守った。的に当たれば 「よし!」 と大きな掛け声をかけ、一人一人の動きを観察し試合の合間にアドバイスをした。 出場できない悔しさがあってもサポート役に徹し、仲間が的に当てたときは本当に嬉しく頑張ってほしいと願ったという。



県代表で中日本大会出場

キャプテンとして

153cmと小柄な美里さんは今大きな壁に当たっている。1年生後半から射法八節の会(かい)が定まらない。会とは弓を押し、弦を引き、矢を放つ直前の構えで、精神力が最も必要とされる瞬間だ。的を前にどれだけ意識して練習しても克服できないという。それが的ではなく巻藁を前にすると出来るのというから不思議だ。
入口先生はどうしたら克服できるのかと何人もの有段者に聞くもその術が見当たらないという。当てたいという心が自分で自分の体を操れなくしているのだ。このように弓道は非常にメンタルな競技である。

美里さんは後輩を指導する立場でありながら結果が出せないことを深刻に悩むという。先輩としての威厳が伴わない中でも1年生には上手になってほしいのでアドバイスもし、練習が緩んでいればキャプテンとして注意もしなければならない。寒い日が続く1月、小さな電気ストーブの前に集まり、しゃがみ込んで暖を取る1年生。 弛んでいる…、 試合を前にしてこれではと部活ミーティングで気を引き締めた。

そこから練習に魂が入り大会2週間前から全員の当たりが安定してきた。その状態で臨んだ如月大会、底冷えの寒さの中で強豪高が振るわない中、鹿西高校は普段の練習通りに弓を引いた。勝因の根っこは美里さんのリーダーシップにあったのだ。 葛藤を胸に収め、終始穏やかに謙虚に
冷静に話すその人柄に真の強さを感じ、私は爽やかな気分となり学校を後にした。



鹿西高校弓道部


第41回 「輝く!郷土の星」タッチラグビーの辻孝夫さん


目覚めたヒーロー

タッチラグビー日本代表に

なんと!46歳で現役の日本代表選手として頑張っている男が、ここ七尾にいることをご存知だろうか。辻孝夫さん、今年4月マレーシアで開催される、タッチラグビーワールドカップ40歳以上の部で日本代表に選ばれた。タッチラグビーとは「走る、パス、かわす、トライ」とラグビーと変わらないが、ひとつ大きく違うのがタックルがなく、タッチすることで攻守が入れ替わる6人制のスポーツだ。

実は辻さん、日本を代表する選手で、すでに4度目のW杯出場となる。2011年のスコットランド大会では35歳以上の部でMVPを獲得しているヒーローなのだ。そんな辻さんにワールドカップの意気込みを聞くと、「最初まったく歯が立たなかった強豪国のオーストラリアやニュージーランドとも近年は接戦となる試合が出来ているので、しびれる試合をしてベスト4入りを目指す」と力強く話してくれた。

ハンデを長所に

新保町に生まれた辻さんは、なぜか子どもの頃からボール遊びが大好きだったと言う。御祓中学では迷わず野球部へ。しかし体が小さく非力な辻さんはどれだけ努力してもレギュラーになれなかった。それでも高校ではサッカー部に入り、今度こそはと頑張るが現実は厳しかった。身長150cmの自分はスポーツに向いていないのか…。挫折した辻さんだったが、大学進学後「負けたままではいられない!」と今度はラグビー部に入部。体は小さくとも耐えられるようトレーニングで体を鍛えに鍛えぬいた。そしてスピード、俊敏さを武器に大活躍したのだった。
大相撲では郷土力士の炎鵬が小兵ながら大きな力士を相手に土俵で活躍しているが、まさしく辻さんはラグビーコートの隅から隅を走りまわっての活躍だった。


故郷に恩返し

大学卒業後、地元に帰り「フィットネスガレージななお」でスポーツインストラクターとして勤務。この時タックルのないタッチラグビーを知り、自分の体格が長所として活かされると直感。勤務の合間に一人自主トレを開始、関東で開かれる練習会に通いながら、ついに日本代表選手になった。

最初は自分のために始めたタッチラグビーだったが、今まで職場の仲間を始め様々な形で応援して頂いた地元七尾の皆さんに恩返しがしたい、と2年半前から子供向けのスクールを立ち上げた。タッチラグビーとの出会いが、スポーツ落ちこぼれだった自分に自信をつけてくれ人生を豊かにしてくれたと語る辻さん。そんな自分自身の体験をタッチラグビーを通じて、小さくても非力でも頑張って努力すれば誰にでもチャンスが巡ってくること、何事も最後まで諦めない精神力を養うことの大切さを伝え、七尾でタッチラグビーが普及することを目指している。

今回のワールドカップで頑張って、スクールの子供たちを感動させたいと今まで以上に気合いを入れてトレーニングを積み調整してきた辻さん。4月どんな結果報告を聞くことが出来るのか、七尾から世界を相手に戦う、小さくて大きな男がいることを誇りに思い、みんなで応援したい! 頑張って、辻さ~ん!!



第40回 「輝け!郷土の星」創作和菓子の 関軒 十萌さん、小坂 美尋さん(鹿西高校2年)


第9回全国和菓子甲子園で銅メダル、審査員特別賞

突然の話でしたが直感的にやりたいと思ったんです。昨年6月、エントリー締切り1週間前に石川県菓子工業組合青年部長から家庭部岡山先生に大会エントリーの要請が入ります。1週間では難しいと思いながら部員に確認すると、十萌さんが手を挙げました。二人一組が出場条件です。十萌さんは家庭部でクラスメイトの美尋さんに声をかけました。

結果は県大会、中部ブロック大会で優勝。全国100校以上が参加し各ブロック代表の18チームが競った8月の和菓子甲子園決勝大会で見事に特別賞に輝きました。この大会は単に美味しい和菓子を競うものではなく、自分たちが暮す町の文化や歴史、特産品を通じて故郷への想いを表現しなければなりません。制限時間1時間45分、製品力、表現力、ネーミング、技術力、プレゼンテーションが審査されます。

おりひめ帷子(かたびら)

出場の多くは調理科のある高校です。家庭部ではクッキーや洋菓子は作っていたものの和菓子の経験はありません。それでもやってみたい!と思った十萌さん、お祖母さんが茶道を嗜み日常に和菓子があり、小さい頃から和菓子に興味を持っていたそうです。そんな十萌さんの情熱が周りを動かします。

仕事の合間に様子を見に来た青年部長の羽咋の「佐吉庵」さん、二人の一生懸命に取組む姿に帰るに帰れなくなり、仕事の予定を変更して指導したそうです。また中能登町の「みうら屋」さんと「のと屋」さんが細やかな支援をしてくれました。家庭部で交流のある中島菜農家の松田さんには餡と寒天に色付けするため、能登むすめ、中島菜、小菊かぼちゃのパウダーを作ってもらいました。

染織部にも所属する十萌さんは盛夏の代表的な和菓子「夏衣」の寒天で作る衣の部分を能登上布の反物に見立てます。菓子銘にこだわり悩んでいた時、たまたま徒然草の授業で麻の着物を帷子と呼ぶことを知り、繊維の町と能登上布が連想できると閃き「おりひめ帷子」と名付けました。



ふるさとが詰まった力作

ひと夏の体験

夏休み、空調設備が無い学校の調理室では辛いだろうと岡山先生は近隣施設の調理室を手配します。器具により火力が違うことが逆に火加減を見る練習になったと笑う美尋さんは、1mgの砂糖を加減し味見を続け、十萌さんはカラー野菜の粉末の量を加減し色合いを追求しました。

そして地元菓子職人7人の前で本番さながらの練習を見てもらった時、寒天と餡の扱い、器具の扱い、分業ではなく声を掛け合い二人で協力しあう事、プレゼンも作業も笑顔を絶やさず、爪を切って衛生面に気を配る、全員から厳しい指摘を受けます。こんなに頑張っているのに…。正直この時が一番へこみましたと二人。ここで投げ出せない!と指摘をノートに書き留め、素直に前向きに課題を改善し決勝大会へ臨みました。

純白のコックコートやエプロン姿が集まった会場で、ひときわ目を引く能登上布の作務衣。故郷を想い、仕上げた「おりひめ帷子」は、最高の仕上がりとなり受賞。多くのお陰様を強く実感した和菓子甲子園となりました。



関軒さん・小坂さん


第39回 「輝け!郷土の星」放送(朗読部門)の畑中 愛さん(七尾高校1年)


11月石川県高校放送コンテスト新人大会朗読の部で優秀賞

66名がエントリーした大会で、金沢泉丘高校、北陸学院高校の生徒と共に優秀賞に選ばれた愛(めぐみ)さん。アナウンス部門では常連の七尾高校放送局ですが、朗読部門での優秀賞受賞は久しぶりです。

学校では全校集会や体育祭などの行事で司会やアナウンスなど行いながら、来年2月の北信越大会、7月のNHK杯、8月の全国総文に向けて練習に励んでいます。

七尾高校放送局

「放送部ではなく放送局なんですよ」と愛さん。全校集会で司会をする先輩の品位に惹かれ放送局に導かれました。入部すると過去の題材でアナウンスと朗読をそれぞれ行い先輩が適正を助言します。アナウンスは自分で取材したエッセンスを原稿にして1分半以内で伝える力が求められます。大変ですが自分の得意なことや個性を表現できます。 朗読は決められた5冊から1冊を選び、どこを読むか決めます。 朗読時間は1分半から2分間、字数で600字から800字くらいです。 愛さんは先輩の助言で朗読部門を選びました。

練習はまず腹式呼吸の会得です。アナウンスも朗読も第一に良い声、通る声でなければなりません。 早口言葉で滑舌のトレーニングをし、NHK日本語発音アクセント辞典で正確なアクセントを覚えます。やさしい言葉、悲しい言葉、それぞれに声色を変え、セリフの文章は感情移入し、セリフでない地の文は感情を入れ過ぎず、さりとて棒読みになってもいけません。 大会では様々な評価項目で点数がつけられます。大会前日は学校のホールで他の部員に聞いてもらい課題を確認し本番に臨みました。



3名が受賞しました。(田渕さん・吉野さん・畑中さん)

将来の夢

自分が? まさか! ビックリしたと言う愛さんです。1年生で受賞とは天性の才能があったに違いないと、顧問の屋敷先生に伺うと 「入部した時はまったくの普通の生徒でしたよ」 とのこと。

5作品の注釈を読み内容を理解した上で、自分の声に合いそうだと感じた宮下奈都さんの「羊と鋼の森」を選びました。何度も読み返すと、自然と口ずさむ感じで筋書きが覚えられたと言います。その中から更に自分に合った部分を抽出して大会に挑みました。「初めての大会なので全力を尽くそうと練習を重ねてきましたが、本番では緊張したことしか覚えていないのです」 と愛さん。「前日の練習では上手くいかない箇所がいくつかあったのに、当日は全部クリアしていたので驚いた」 と屋敷先生。

小学生の時、図書館司書の先生から児童文学作家、岡田淳さんの「小学校のふしぎな話」をテーマにしたファンタジーを薦められ大の読書好きになった愛さんですが、岡田淳さんの本との出合いが夢の出発点になったと言います。 それ以来、 図書館司書になることを夢見て沢山の本を読んできた愛さんだからこそ、 初めて臨んだ大会で体は緊張状態でも、心は落ち着いていたようです。 読書に宿る力と、 愛さんの努力が結び、引き寄せた優秀賞だと思います!



声の妖精 七尾高校放送局員


第38回 「輝け!郷土の星」バスケットの青山 大地くん(七尾中学3年)


念願の全国大会出場

七尾中学校バスケ部は昨年の女子に続き、今年は男子が全国大会に出場しました。実は石川県大会、北信越大会ともに決勝戦でライバルの美川中学に敗れ準優勝での全国大会出場です。

結果は予選リーグ、中国代表の玉島北中に77対60、東海代表の真正中に61対60と惜しくも敗退し、決勝トーナメントへ進む事が出来ませんでした。ベスト16を目標にしていただけに悔しい結果でしが、キャプテンの大地くんには今年何としても全国大会へ出場したいという強い意思がありました。

七尾ブルドック時代

地くんは保育園年中の時、兄が通うミニバスの七尾ブルドックを見学し、「自分もやりたい!」とバスケを始めます。ブルドックでは小3でユニフォームを貰い佐藤監督にバスケを叩き込まれました。小6の時、全国大会出場へ大きな期待がかかりました。過去2年間決勝で敗れ涙を呑み、今年の実力なら大丈夫と全国大会へ行く気満々で臨んだのですが負けてしまいました。この時チームメイト全員で泣き、全国大会出場の難しさを思い知らされたのです。この時のメンバー全員が七尾中学バスケ部に入り、その悔しさをバネに中学でも全国大会出場を目指し頑張ってきたのです。

大地くんは身長170cm、体重60kgと選手としては小柄です。中学生でも190cm前後の選手もいるので、スピードで勝負しなければなりません。ブルドック時代の佐藤監督は素早く動き回り、その試合運びも自分たちで瞬時に判断出来るよう、大地くんを司令塔としてのチームを作ってきました。



インタビューに答える大地君

キャプテンとして

大地くんのポジションはポイントガードです。ここはチームの司令塔でゲームを作る役目があります。顧問の門前先生は今年の3年生はとにかくバスケが大好きで本当にチームワークが良いと話し、大地くんについてはガードとしては大変素晴らしく、チームをまとめる力があり、頼りになるキャプテンだと高く評価します。

練習も七尾高校と金沢学院高校の胸を借り、プロバスケットBリーグ金沢武士団(サムライズ)の飴谷アシスタントコーチの指導を受けワンランク上の練習メニューをこなしてきました。大地くんはメンバーに対し練習で気付いたことや、思うことは遠慮せずにアドバイスすると言います。後輩からは怖い先輩だと思われているようだと笑いますが、目標の石川県ナンバー1、全国大会出場を成し遂げるためチームを強くしたいのと、後輩に上手くなってもらいたいため、中途半端な気遣いをしていてもいけなかったと言います。

そんな大地くんに将来の夢を聞きました。すかさず「夢はBリーグでバスケしたいです!」と元気よく答えてくれました。そのため来春はバスケットボールの強豪、金沢学院高校へ進学を目指します。高校でもバスケットを続けるため、今も勉強の傍ら、3年生や下級生に声をかけ田鶴浜体育館で週2、3回の自主練習をしています。5歳から始めたバスケットボールを通じ、目標を成し遂げる強い意思、そして逞しいリーダーシップ力を身に付けながら、益々成長を続ける大地くんです。



七尾中男子バスケットボール部


第37回 「輝け!郷土の星」フラワーデザインの村山 唯さん(東雲高校3年)


第56回技能五輪全国大会の職種「フラワー装飾」で県代表!

フラワー装飾とは、花束やパーティー会場の飾りつけ、ブライダルブーケなど生花を用いてアレンジメントする技能のことで、フラワーデザインの国家資格です。そのフラワー装飾技能士2級に今年合格した唯さんは、山口県で開催される高校生フラワーアレンジメント全国大会と沖縄県で開催される技能五輪全国大会(23歳以下)に石川県代表で出場します。高校生で2級合格は石川県では歴代4人目の快挙です。県代表の連絡を受けた唯さんは、昨年、村上結乃先輩が選ばれていたので、自分も出たいなと思ってはいたのですが、「まさか本当に!」 とビックリしたそうです。

東雲高校フラワーデザイン部

生花部が前身のフラワーデザイン部は創部10年を迎え現在は女子6名、男子1名の部員が週1回から3回の練習をしています。実業系の東雲高校には資格取得を目指す気風があり、フラワー装飾の資格を取りたいという生徒の声に、顧問の宮本信子先生が独学で勉強して部を立ち上げました。

現在は宮本先生、出村豊先生、澤野毬乃先生が1級を取得しており、また金沢のフラワーデザインスクールの福岡千恵先生を講師に招き手厚い指導の下、2年連続で全国大会と技能五輪へ出場となる実績を上げています。



フラワーデザイン部

頑張り屋

お花と聞くと、おしとやかな感じがしますが、実はフラワー装飾は体育会系に劣らず激しい競技です。与えられた花材で課題(テーマ)を制限時間内で表現し審査されます。技能五輪の競技時間は5時間、私語禁止の会場でスケッチ、花束、ブライダルハーフ&ブートニア、ウィンドウディスプレイを制作します。集中力と体力が勝負の中、見る人に、そーなんだ、そんな発想があったんだと感じてもらうために、全体構成、色、形を調和させます。そして秀でた作品にするためのアイデア、最後の一工夫をどうするかでしのぎを削る戦いだそうです。

大会ではとってもお腹がすくんですとニコリと話してくれた唯さんですが、実は陸上部にも所属し、なんと県の高校総体では5000m競歩で3位入賞を果たしています。1年生の時は最下位だったと言うので、唯さんは相当な頑張り屋に違いないと思い、競歩とフラワー装飾をどう両立させたのか聞いてみると、3年生になって2級を受ける時、陸上部の向田先生も応援してくれたので絶対合格しなければと、陸上の練習を済ませ午後7時から10時まで市内の花屋さんで指導を受けたと言います。

やはり!そんな努力をしていたのかと感心し、指導する先生方にも唯さんの事を聞いてみました。福岡先生は、素直で諦めず最後まで頑張るので成長もするし、結果も出るのだと話し、宮本先生は普通なら挫折し投げ出してしまうところを諦めず、メンタルがとても強い子だと話してくれました。

唯さんは今、受験勉強や学校祭などやることが一杯ある中で大会に向けて練習に励んでいます。 優しくて頑張り屋さんの唯さんの人柄が表れる素敵なアレンジメントで技能五輪、頑張って下さい!楽しみにしています。



五輪をモチーフに


第36回 「輝け!郷土の星」陸上1500mの川森 結翔くん(七尾中3年)


石川県中学陸上競技大会1500mで優勝

7月の県体で4分15秒30の記録で念願の石川県優勝を果たした結翔くんですが、これは中能登中学3年生の常光拓真くんと抜きつ抜かれつのデッドヒートの末、わずか0、09秒の差で掴んだ勝利だったのです。結翔くんは実力がありながらも2年生までは県大会に出場すら出来ませんでした。県体出場するためには七尾鹿島地区予選で勝たなければなりませんが、この地区予選のレベルが高く先輩の壁が厚かったのです。

小さい頃から走ることが好きだった結翔くんですが、高階小学校のマラソン大会でどうしても勝てない同級生がいました。小5の時初めてその子に勝って喜んだのも束の間、その子が田鶴浜スポーツクラブへ入って長距離の練習を始めたのです。このままでは来年のマラソン大会で負けてしまう。そんな思いに駆られ自分も田鶴浜スポーツクラブに入ることを決めました。

田鶴浜スポーツクラブ

七尾中学陸上部の中長距離選手は男女全員、田鶴浜スポーツクラブに所属して練習しています。昨年4月七尾中学が御祓中、朝日中、田鶴浜中の統合により誕生しましたが、統合前の田鶴浜中学陸上部の長距離選手全員が田鶴浜スポーツクラブに所属して練習に励んでいました。そして駅伝や長距離走で何度も全国大会出場をしています。そんな経緯から七尾中学でも中長距離選手は田鶴浜スポーツクラブの山口監督の下で練習を行ないます。

朝6時から旧田鶴浜中のグラウンドで練習し、朝弁当を食べ全員でサンビーム7時20分発のスクールバスで学校へ向かいます。学校が終わればいったん家へ帰ってから夕方6時にグランドへ集合して走りこみ、まるで毎日が合宿のようです。その成果は男子が4年連続で全国駅伝大会へ出場しています。そして今年は女子にも全国大会出場の期待がかかります。



僅差の優勝!

厳しい練習

昨年の夏は厳しい練習についていけず、それで体幹と筋肉を鍛えるトレーニングを始めた結翔くん。体が出来てくると余裕を持って練習ができ楽しく走れるようになったと言います。山口監督は選手の状態をよく見て一人一人に細やかな指導を行います。結翔くんの走りは柔らかくて良いのだが、ひょこひょこ走っているのでもっと体幹を鍛えればまだまだ伸びると言います。今後の課題もあるが性格が素直で前向きなので高校、大学とこれからが楽しみだと話してくれました。

12月の全国中学校駅伝大会に石川県代表として5回連続出場なるか、厳しい練習が続きます。昨年は人数も揃っていてレベルが高かったのですが、今年は男子部員9名で3年生は結翔くん一人です。そんな結翔くんに決意の程を聞くと「ライバルは津幡南中学と中能登中学ですが、後輩の野崎健太郎くんが8月に北信越大会の1年1500mで優勝しチームのムードも上がっていて、先輩として良い手本となって自分の背中を見せてみんなを引っ張っていきたい」と力強く話してくれ、とても頼もしく感じました。 男女ともに全国大会出場目指して頑張ってもらいたいと思います。



駅伝の名門!男女で出場を!


第35回 「輝け郷土の星」 柔道の林 諒太朗くん (鳥屋小5年)


全国小学生学年別柔道大会石川県大会で優勝

全国大会への切符を手にしこの夏の練習は特に力が入っています。諒太朗くんは3年生と4年生の時にも県体会で優勝をしていますが全国大会は5年生から開催されます。石川県大会3連覇を成し遂げ全国大会は当然のごとく出場を決めたのだと思いきや、大会では逆転につぐ逆転とやっとの思いで優勝できたのでした。連覇していたのでライバルから研究されていたのです。準決勝、決勝と先に指導を取られる試合展開です。準決勝でなんとか小外刈りで、決勝では残り十数秒を残し逆転の大内刈りで辛くも勝利しました。

北野監督は普段は感情を表さない諒太朗くんがこの時ばかりはホッとした顔をしていたので、かなりのプレッシャーを抱えて戦ったのだろうと話します。諒太朗くんは「焦ったけど全国大会へ行くために絶対に勝たなければと気を入れなおして戦った」と言います。



中能登柔道教室のモットー

柔道一家

柔道を始めたのは保育園の時です。柔道三段で中能登柔道教室の指導者でもあるお父さんが双子の姉の一人、弘華さんに柔道を習わせようと教室へ見学に行った時です。一緒に連れて行った諒太朗くんの方が「楽しそうー、柔道やりたーい!」とお姉さんより先に入門しました。あれから6年、身長146cm、体重62kgの体格は5年生では重量級です。

現在中学1年生の双子の弘華さんと莉帆さんも中能登柔道教室で稽古に励み、弘華さんは小5の時に全国大会へ、莉帆さんも今年全国大会へ出場します。二人の姉にはまだまだ歯が立たない諒太朗君にとって姉は優しくも怖い存在なのです。そして自分が中学生になったらいつかは姉に勝ちたいとこっそり話してくれました。

悔し涙

全国大会では小5といえども重量級は大きな選手が出場してきます。けっして大きい方ではない諒太朗くんにどう戦うのか意気込みを聞くと、「相手が大きくて相四つだったら、つり手を落とし自分の組手になって足から崩し、チャンスを待って大外から払い腰で決めたい」と明確に話してくれとても頼もしく感じました。

オリンピックで金メダル!と大きな夢を持つ諒太朗くんですが気が優しく涙もろい一面もあります。石川県大会では団体戦も優勝していますがその準決勝で不甲斐ない試合をした諒太朗くんに監督が喝を入れました。実力があるだけに期待も大きいのです。諒太朗くんも自分の不甲斐なさに悔し涙を流し決勝戦の直前まで泣き続けました。その涙を拭いながら決勝戦に臨み見事に団体優勝に貢献したのですが、悔し涙を流してから闘争心に火がつく大らかな個性があるようです。

個々の力を最大限発揮するためにもみんなの力が一体となることが大切だと、子ども・保護者・指導者の三位一体の運営と指導が行われる中能登柔道教室。今年5月には今まで築いてきたネットワークで東海、関西各県代表チームの総勢400名以上が中能登町に集い合同練習を行いました。そんな恵まれた環境に身を置く諒太朗くんの成長が楽しみです。



全国大会出場選手の壮行式


第34回  「輝け!郷土の星」ハンマー投げの 林 栄真くん(東雲高校2年)


石川県高校総体優勝

今年5月の石川県高校総体陸上ハンマー投げで53m02cmと北信越5県でも4位にランキングされる記録で見事優勝した栄真くんです。この記録ならインターハイ出場も視野に入り期待が高まります。そんな情報を得て栄真くんの取材に東雲高校陸上部を訪れました。

170cm、104kgのりっぱな体格の栄真くんは礼儀正しく、ハキハキとしたとても爽やかな好青年です。訪れた時はすでに北信越大会が終わり結果が出ていました。しかし残念な事に、通常の力を出し切れず46m62cmと惨敗だったのです。

思わぬ敵

重さ6kgのハンマーを直径2m13cmのサークル内で全身を使って投げ飛ばします。体力と技術以上にメンタルが結果に影響するようです。普段通りに投げれば大丈夫と周りは楽観していたのですが力を出し切れませんでした。県大会優勝と北信越大会惨敗。その結果を振り返ると、県大会では1投目で53mを投げたことで、後の試合運びに余裕が持てました。しかし北信越大会では力みが出て公式練習で体の動きが悪くハンマーが飛びません。この1本で不安が広がり頭が真っ白になったと言います。本番の1投目、2投目も記録が伸びず焦りが募ります。3投目までの20分間に立て直さなければなりません。

落ち着きがなく他の選手の投げるのをボーッと立って見ている栄真くんの姿を見た向田監督は、この期に及んでは技術的なアドバイスではなく、頭をフッきり状況を変える必要性を感じます。「ベンチに座れ!頭をリセット、目をつぶって学校の練習風景を思い浮かべ、何を練習して来たかポイントを思い浮かべて」とアドバイスしますが、時すでに遅くメンタルの勝負に敗れたのです。



石川県優勝


結果を受け止めて

中能登中学時代に砲丸投げで石川県優勝し全中に出場した栄真くんには、ラクビーで羽咋工業、航空石川から声がかかり、東雲の当時陸上部監督の中西先生からも誘いを受けます。小学生から陸上に親しんできた栄真くんには迷いはありませんでした。そして幸いにも東雲高校にハンマー投げ石川県高校新記録保持者の遠藤先生が着任してきたのです。遠藤先生は栄真くんを見て、足腰と身体能力が良いので技術を身につければ伸びると感じたと言います。練習は投げ込みを基本として、平日は2時間以上、休日は3時間、4時間とハンマーを持ちます。練習用の重い球をゆっくり回しどこで力を入れるのか確認し、軽い球を速く回すことで体と足の運びの正確さを身につけていきます。また鏡の前に立ちイメージトレーニングを行ないます。

北信越大会での悔しい思いをバネに重心を低くするという課題を克服してリベンジを誓います。向田監督は一番負けて欲しくない所に負けた。その分何倍もバネになってほしい。二度と味わいたく無い程の屈辱であっても、あの時の負けがあって良かった、あの経験のお陰で今がある、と言える成績を残さなければならないと練習への心構えを指導します。

一皮むける糧を得た栄真くん、今後の成長が楽しみです。



東雲高校陸上部


第33回 「輝け!郷土の星」書道の芳岡 真穂さん (七尾高校3年)


石川県代表で全国高等学校総合文化祭

えっ!なんで私が?真穂さん自身が一番驚いたそうです。昨年10月の能登地区高校美術展に出展した作品が最優秀賞に選ばれました。今年8月長野県松本市で開催される全国高校総文祭書道部門には石川県3名の出展があります。この選考は石川県高等学校総合文化祭や県内各地区の美術展などでの最優秀賞作品が集められ審査されます。

昨年11月の選考会で見事に真穂さんの作品が選ばれ出展が決まりました。しかし真穂さんは、金沢の高校生で上手な作品が沢山あったのに、なんで自分が選ばれたかわからないと言います。本当に自分で良いのかとの不安と、責任重大な県代表という使命感が交錯しながらも、全国総文祭に向けての練習が始まりました。


七尾高校書道部


創部5年目、現在15名の女子生徒が練習に励み、毎年学園祭では大きな筆で書き上げる書道パフォーマンスが有名になった七高書道部です。書道は個人で完結する世界ですが、この書道パフォーマンスは部員でプランを練り、役割を決め、全員で取組むので部に一体感が出るといいます。

真穂さんは高校入学してから本格的に書道を始め、楷書、行書、草書、篆書(てんしょ)、隷書(れいしょ)という漢字書体の中で、なぜか隷書体に惹かれたと言います。和気藹々の教室で指導に当たるのは、部員から師匠と慕われる僧侶で書家の三藤観映さんです。創部以来指導を続ける三藤先生は、真穂さんの作品は彼女のこだわらず、動じない性格が作品に大らかさとして現れていると話します。そして隷書体もどきの作品が多い中、真穂さんの隷書体は基本がしっかり出来ていて、一文字一文字をきちっと捉えているので、そこを審査員が評価しているのだと教えてくれました。



最優秀賞

姉の存在

中学では剣道で活躍し初段の腕前を持つ真穂さんが、書道部に入部したキッカケは2つ歳上の姉が美術部で活躍していたからです。入学した年、姉がデッサンで全国総文祭に選ばれていたのです。小さい頃から慕っている姉のそんな姿を追い、今度は自分も文化部で頑張って見たいと思ったのでした。現在お姉さんは筑波大学で日本画を専攻しています。姉の才能をべた褒する真穂さんは本当にお姉さんの事が大好きのようです。

そんな二人が育った環境には祖父の影響も大きいようです。祖父は住職で仕事がら、書に親しんでおり、小さい時から何気に祖父の書く字を見て素敵だなぁと感じていたと言います。知らず知らずに導かれていたのでしょうか。世の中に偶然は無く全てが必然だとするならば、全国総文祭の出展は真穂さんに与えられた使命だったように思います。

部分的に難しい所がある隷書も数をこなすことで慣れてきて、理解が深まり上達が実感できると、楽しくなってきたという真穂さん。全国総文祭には各都道府県から選抜された楷行草篆隷や仮名など約300点が出展されます。選ばれた時は、ひたすらビックリ!していたという真穂さんの、研ぎ澄まされた感性と技の集大成を見守りたいと思います。



書道ガールズ


第32回 「輝け!郷土の星」空手の小﨑川 優雅くん(七尾東部中1年)


小﨑川兄弟、全国大会で優勝

5月6日、滋賀県で開催された第11回極真杯全国型選手権大会の中学生の部で大会最高得点を出した優雅くんです。この大会では中2の兄楓雅(ふうが)くんと共に最高得点をマークし特例で兄弟のダブル優勝となりました。

優雅くんが空手を始めたのは幼稚園年長のとき市内にある現在の国際空手道連盟極真会館石川県支部の道場に兄と共に連れていかれたのがキッカケでした。実践ではなく型の稽古を始めますが、道場は実践の極真空手です。怖いなぁと思ったそうですが、1歳年上の兄楓雅くんと一緒だったので少し安心もありました。

目の上のたんこぶ

戦いという環境に身を置く事になった幼い兄弟ですが、意外な事に怖いより楽しいと思えたと言います。入門6ヶ月での石川県大会幼年の部で優雅くんは3位に入賞しました。翌年には小学1年の部で優勝、このとき兄楓雅くんも2年生の部で優勝。この時から二人は優勝回数を重ねていきます。なんと今日までに県大会、全国大会、世界大会を含めて弟優雅君は22回、兄楓雅くんは71回の優勝をしています。二人の差は、エントリーが同じで二人が戦うことになる大会では常に兄楓雅くんが優勝をするからです。

普段は魚釣りが大好きの優しい優雅くんですが、大会で兄に負けたときはとても悔しいと言います。いつか必ず兄に勝つ! 優雅くんにとっては兄がライバルであり目標の存在なのです。兄楓雅くんは優雅が力をつけてきたので油断できない存在になったと言います。父親もこの大会を観戦し、今回はひょっとして弟が勝つのではないかと感じたほどの演武でした。結果はダブル優勝となり、勝つ事は出来ませんでしたが、それでも初めて兄と肩を並べることになりました。



実は太公望

厳しい稽古

稽古は柔軟体操、型の稽古、そして組手を毎日欠かさず行ないます。週3日は道場で松下師範に稽古をつけてもらいます。小学生の時は父親が指導していた自宅稽古も中学生になった今は二人で稽古内容を決めています。

かつて兄楓雅くんを取材した時に肋骨にひびが入った状態で稽古をしている姿に驚きましたが、二人は型だけではなく組手の試合にも出場しています。しかし型の試合の方が緊張すると言います。組手は相手とパワーをぶつけ合い反射的に試合が進みますが、型は自分の内面と向き合う事になります。型の試合も組手と同じようにトーナメントで一戦一戦勝負して勝ちあがりますが、型はいかに忠実に決められた動きを演武するかが勝負です。手足の位置、腰の高さ、体の向き、目線、力強さ、緩急強弱、静動、呼吸、そして残心、この調和に個性が現れます。正確さと力強さ、そして華麗なる型を演じるには、たゆまぬ稽古と高度な精神性が求められます。

まだ幼さが残る優雅くんですが、演武を始めるときには全身に気迫がみなぎります。兄の演武の力強さ、美しさを認める優雅くんですが、必ず越える!と胸に誓い稽古を続けます。



兄 楓雅、弟 優雅


第31回 「輝け!郷土の星」競歩の西 未来さん(七尾高校2年)


第59回石川県高等学校新人陸上競技大会で優勝

昨年の県新人大会で1年生ながら優勝を成し遂げた未来さん、笑顔の可愛い明るく活発な高校生です。女子の競歩とは珍しいなと思いながら城山グラウンドを訪れました。グラウンドでは七高と東雲の陸上部が練習中です。

中西監督に挨拶を済ませ、未来さんを探しました。あの子が西さんですと教えてもらうと、笑顔でこちらに駆け寄ってきて挨拶をしてくれました。ん? えっ!どっち? 同じ顔の女子が二人ニコニコしています。なんと未来さんは双子の姉で、妹の希望(のぞみ)さんも同じく競歩の選手だったのです。そして先の新人大会では準優勝をしているのです! 双子で1位、2位とは、お見事です!

中距離からの転向

それでは、という事で二人にインタビューすることにしました。二人は以前このコーナーで紹介した中距離の増田海輝くん(現在は尾山台高校陸上部)と同級生で中能登中学陸上部の出身です。

二人は中学時代1500mの選手でしたが記録が伸びず県体出場が難しいので、中2の時先生は七鹿からの出場枠で空きがあった競歩を薦めました。未来さんは、中距離より、そっちが楽かも♪と安易に考えて転向を決めました。それが功を奏して県体で8位入賞、これで未来さんの気持ちにスイッチが入りました。

中3の県体では優勝、妹の希望さんも準優勝します。学校も部活も競技種目も同じ道を歩んでいる二人ですが、未来さんは球技の部活体験もしましたが、どうもしっくりこなく、やっぱり陸上かなぁという感じで入部したんですと笑います。



未来に希望の二人です

一心同体

中能登中の2年先輩に遊学館で活躍した吉田優海(ゆう)さんがいます。東京オリンピック出場を目指すほどの実力者で二人にとっては憧れの先輩です。吉田選手の記録は5000m22分台ですが、未来さんは26分10秒、希望さんは26分13秒です。中西監督は今年24分台、3年生で23分を切ること目指さないと全国では通用しないと言います。覚悟して相当の練習をしなければなりません。歩くのだから走るより楽かもと思った競歩、何が辛いかとの質問に、未来さんは学校から自転車で城山グラウンドへ向かう時が一番辛いと答えます。辛い練習が待っている場所へ行かなければならないという心理的な辛さです。いち早くグラウンドへ来て誰よりも早く練習を始めても終わるのは一番遅くなる競歩。

12000mを歩き込む練習は途中で止めたくなることもしばしばです。それを我慢して乗り越えられるのは、なんと姉妹の間にあるライバル心だと言うのです。お互いに負けられないという二人は互いの息づかいが聞こえる近さを並んで歩き、一人が疲れれば一人が引っ張りペースを崩しません。双子ゆえの距離感が励みとなり互いに高め合っているのです。小さい頃から何かにつけてお互いを気にしてきた二人。苦楽を共有できるライバルの存在こそが、今の二人の強みとなっているようです。 二人でインターハイ出場を! 頑張って!



競歩三人娘


第30回 「輝け!郷土の星」相撲の谷口 愛さん(中島小5年)


第20回全日本小学生女子相撲大会で優勝

小さい時から口数が少なく、おとなしい性格の愛さんですが、体が大きかったこともあり小4の時、お父さんの薦めで七尾青年会議所主催のわんぱく相撲に出場しました。小丸山城址公園の愛宕山相撲場で162cm、75㎏の愛さんは男女混合の試合で4位となり、男子に勝てる楽しさと、優勝できなかった悔しさを経験します。

七尾能登島相撲クラブの新崎監督はそんな愛さんの素質を見抜きクラブへ誘ってくれました。監督の指導のもと四股、すり足、ぶつかり稽古と相撲の基本を忠実に稽古するとメキメキと力が付き、5年生のわんぱく相撲七尾大会、県大会と見事優勝。この時愛さんは嬉しくて土俵下で泣いてしまいました。

男子は国技館でのわんぱく相撲全国大会に進むのですが、女子は8月の全日本女子相撲郡上大会に出場することになります。勢いに乗る愛さんは、この大会でも優勝し、さらに10月の大阪で開催された全日本小学生女子相撲大会5年生の部でも優勝しました。

女子相撲

大相撲は男だけの世界ですが、女相撲は江戸時代から行なわれており全国各地に伝統行事として数多く残っています。またヨーロッパなども女子相撲が盛んで世界大会も行なわれています。

一昨年モンゴルで開催された世界ジュニア女子相撲選手権では金沢学院高校の山下紗莉奈さんが優勝しましたが、彼女も小学生の頃は宝達志水町から七尾能登島相撲クラブへ出稽古に来ていました。また大相撲で活躍の輝関はお姉さんが女子相撲をやっていたことがキッカケで相撲を始めています。



団体・個人男女・完全優勝!


恵まれた環境


身近に女子相撲の先輩が多くいることも愛さんにとって恵まれていました。全国大会の会場では石川県の中学や高校の女子相撲の先輩が愛さんを可愛がってくれ、試合前の調整をしたり、土俵に送り出したりと面倒を見てくれます。県内の大会ではその運営や審判員には顔見知りの地元の大人達がいることで、雰囲気に飲まれることなく安心して臨む事が出来ます。


お父さんはそんな環境も相撲王国としての層の厚みであり、伝統を繋いできた関係者のお陰であり、愛は本当に恵まれていると言います。新崎監督は愛さんに期待をしながらも、あくまでも本人の自覚を促しながら指導を試みているようです。

今年全国2連覇を目指しますが、ライバルは愛さんを研究して挑んできます。愛さんは恵まれた身体能力でスピードとパワーに勝りますが、全国大会では小さい時から柔道やレスリングをやっている選手がほとんどで、まわしを取られると苦戦が予想されます。この冬減量を指示した新崎監督の胸の内には二連覇に向けての思いがあるようです。

全国大会決勝戦、「勝って帰るぞ」と監督の小声、「うん」と頷き土俵に向う愛さん。 絶対的な信頼感が結果を引き出すのである。二人だけに通じる気脈がある。



七尾能登島相撲クラブ


第29回 「輝け!郷土の星」テコンドーの吉田 理壱くん(小丸山小5年)


全日本で準優勝!


昨年7月東京日野市で開催された全日本ジュニアテコンドー選手権大会30キロ未満の階級で見事準優勝に輝いた理壱くん。テコンドーは空手を源流に韓国で発展した近代武道です。理壱くんがテコンドーを始めたのは小3の時です。5歳から始めている空手がスランプになり、その克服のためにとお父さんが勧めました。石川県ではテコンドーの道場が無く、富山市まで通わなければなりません。お母さんはそんな無理しなくてもと反対したのですが、理壱くんはテコンドーに興味を示し、お父さんと一緒に頑張ると決めたのです。今も富山市まで週1回通って稽古しています。空手も地元七尾の武神政浦道場で週3日の稽古に励んでいます。似て非なる二つの武道の両立は難しく、空手の実力者でもテコンドーに転身して強くなる例は少ないと言いますが、理壱くんはテコンドーと空手を両立させ、空手甲子園と言われるJKJO全日本ジュニア大会にも予選を勝ち抜いて3年連続で出場しています。また昨年10月に横浜で開催された国際武道空手連盟の全国大会で5年生38キロ未満の部で3位入賞も果たしました。


功を奏す


テコンドーには空手と同じようにマッソギ(組手)とトゥル(型)がありますが、足のボクシングと言われるほど、足技でポイントを取る競技です。理壱くんは攻め込まれた時にかわして、ダイナミックな足技で反撃するテコンドーが面白いと言います。お父さんはテコンドーを始めてから空手にも幅が出て、やる気も出てきたと言います。家でも自主的に腹筋や腕立て、蹴りの練習を毎日欠かさず行なっている理壱くんですが、テコンドーとの出会いが功を奏したのでした。



理壱くん(左)
惜しくも準優勝


母の葛藤


今でこそ本人もやる気になって、お父さんと二人三脚で練習に励んでいますが、練習が厳しくやめたいと毎日泣いていた時期があったと言います。そんな時お母さんは、まだ小さくて練習の意味が理解できない理壱くんに、練習を指導するお父さんの思いを伝え、またお父さんには理壱くんの気持ちを読み取り、子供心を伝えて二人の間がギクシャクしないよう取り持っていました。母親として厳しい練習に耐える理壱くんの姿を見てかわいそうになり、テコンドーを続けることが果たして良いのか葛藤したと言います。それで理壱くんにテコンドーをやめる?と聞いたことがありました。理壱くんは少し考えて、「空手でパパと一緒に勝ち取ったトロフィーと同じように、今度はテコンドーでも頑張ってもう1回トロフィーをとってみたい」と答えました。この一言で覚悟を決めた理壱くんは結果を出す為あらゆる努力を惜しみません。勝つために階級を落とし、試合前に減量も経験しました。発育盛りの小学生が食事制限をするのです。理壱くんの枕の下にあったチョコレートの包み紙。結果という目標に向かってストイックなまでに心身の鍛錬を重ねる父と子。それを見守る母。 今でこそ良かったと笑えるが、という母の言葉に、事を成す重みが滲む。



富山の道場で稽古


第28回 「輝け!郷土の星」 弁論の土倉 早貴さん(鹿西高校1年)


全国青年弁論大会で最優秀賞


昨年11月、水戸市で開催された第62回全国青年弁論大会高校生の部で、最優秀賞に輝いた土倉早貴さん。まだ1年生ということで、原稿の完成と全国大会出場を目標に置いていただけに、石川県代表に選ばれての全国デビュー戦で、いきなりの最高賞受賞に本人もビックリ仰天です。弁論を始めるキッカケは田鶴浜中3年生の時でした。生徒会長をしていた早貴さんは、その立場から全能登私の主張発表大会に学校推薦で出場することになります。中学生と高校生が集まる会場で、中学生の多くは私はこう生きたいと自分の主張をするのに対し、高校生の社会性を含んだ弁論に驚いたといいます。しかしそれがキッカケで弁論に興味を持ち、進学した鹿西高校で迷わず弁論部に入部しました。


今日的課題


少人数の弁論部。顧問の岡山先生は入部して間もない早貴さんを、毎年5月に名古屋で開催される伝統の全国高等学校弁論大会に、出場が決まっていた先輩と共に連れて行きました。この大会は弁論のあと質疑がありその受け答えも審査対象です。大学生や一般からの質問に自信を持って聴衆を圧倒するくらいの応答をしないと高得点になりません。それは原稿の中身がどれだけ本物なのかを試されているのです。全国レベルの弁論を聴きモチベーションが一気に高まった一方で、今日的課題を自分の体験や考えで論旨をまとめなければ通用しないことを突きつけられたのでした。弁論大会では論旨60点、表現力40点でフィギュアスケートと同じく複数の審査員に採点されるのです。



石川県代表メンバーと


弁士


原稿が書けない! 何をテーマにすれば? 辛く苦しい日々が続きます。そんな時、家庭の授業で地域のお母さんと赤ちゃんを招いての交流が行われました。大の赤ちゃん好きで、子育ては幸せなこと、と思っていた早貴さんは、一人のお母さんから産後鬱の話しを聞かされ驚きました。どのお母さんも辛いと言っているけど、えぇ~、子育てってどういうことなんけ? と、この親子交流で今日的課題を捉え、原稿の糸口が見えてきたと言います。この授業で意気投合した関軒十萌(かんのきともえ)さんは、早貴さんとこの問題について話をしているうちに、弁論部に興味が湧きマネージャーとして入部。早貴さんの表現をチェックしたり、タイムを計ったり、また二人で論旨を練ったりとサポートを始めます。そうして「孤育てではなく、幸育てしたい」という原稿が出来上がり、県代表として全国の舞台に臨んだのです。早貴さんは、さらに論旨を深めるため、新聞は毎日読むようになり、本屋さんへ足を運び、ネットで関連する話題や情報を収集し、今でも推敲を重ねています。今年8月の全国総文に出場する早貴さんに、将来を尋ねると医療関係へ進み、地域社会で子育て支援の輪を広めたいと話します。表現力豊かな弁論部弁士から女子アナへと進む人も多いという中、世の中の課題を先取り提言し、自らも実践を志す。 
そんな若き弁士の誠が伝わり、 胸が熱くなる!



閑軒マネージャーと


第27回 バドミントンの 福原 輝弥くん(鵬学園2年)


石川県高校新人大会優勝


11月に開催された県新人大会、シングルは出場567名の選手で競われ12試合を勝ち抜き見事優勝した輝弥くん。さらに能登の高校として初の団体優勝も成し遂げました。県内で伝統誇る強豪の金沢市立工業を倒したのです。輝弥くんは6歳から中島バドミントンクラブへ連れていかれラケットを握らされました。現在大学生の姉と兄もこの教室で鍛え県体優勝の経歴があります。そんな環境で輝弥くんもメキメキ腕を上げ、小2で全国大会出場、小5で石川県優勝を始め、中学時代は選抜や県体で何度も優勝し、中3で北信越ベスト8の成績を残しました。


能登に残る


近年能登地区の優秀な中学生の多くは金沢の強豪校へ進学していきます。そんな風潮の中、輝弥くんは違いました。進学を考えた時、金沢の強豪校で強くなるのではなく、自分が生まれ育った地元で頑張り、能登の人間として金沢の強豪校を倒すことが、自分自身がより強く、より成長すると考えたと言います。打倒!金沢市立工業を目標に定めてからの動きは見事でした。田鶴浜中の保科三史郎くんに相談し、二人で中島中の谷口拓大くん、能登中の山本幸太くん、高松中の干場翔也くんと東志音くん、当時の能登の強い選手に連絡を入れ鵬学園に進み金沢勢を倒そうと誘いました。二人の熱意に共感し、全員が能登に残りました。今回の団体優勝はこのメンバーで勝ち取ったのです。為せば成る!と言うものの、2年目で結果を出すには、強い、強い願望と、それ相応の努力があったに違いありません。



最強のメンバー


鵬学園バドミントン部


6月の総体は団体2位、個人3位の成績でした。もう一歩です。そこから新人戦に向けて監督の曽我先生が全部員にハッパをかけ練習密度が濃くなります。平日は3時間から4時間、土日は7時間、休み無しで練習を続けます。キャプテンとなった輝弥くんは勝たなければならない責任を自覚します。まず自分達は強いチームだと全部員に意識付けをし、自信を持つようにしました。練習では率先して大きな声を出し気合を入れます。普段から大きな声を出して練習することで、試合本番でも普通に大きな声を出し、気おくれせず実力を発揮するためです。夏休みには日体大へ出向き強化練習もしてきました。大学生の迫力あるプレーとカッコ良さに益々バドミントンへの情熱が高まった輝弥くんです。曽我先生は痛い所があっても黙って頑張ってしまうほど練習量は一番だし、この半年で体力、精神力が鍛えられて我慢強くなったと言います。そんな輝弥くんのプレースタイルは早く動いて攻撃するというより、ミスを少なくして拾っては返し、拾っては返し、長い試合にして相手のミスを誘います。相手にとっては非常に攻めづらく、いつの間にかに点差がついている感じだと言います。これだけ練習して負けるわけにはいかない!と臨んだ大会で掴み取った優勝。「練習はいつも辛いですが耐えなければ結果を出せないし、結果を出したいから辛くても頑張れるのです!」と輝弥くん。 率直な言葉に力が宿る。 まだまだ楽しみだ!



曽我監督の指導が入る