こみみかわら版バックナンバー

第5回 『輝け!郷土の星』写真の西川 萌香さん(田鶴浜高校3年)


全国大会で最優秀賞に輝く


高校生が競う全国の写真コンテスト、第13回「民家の甲子園」で最優秀賞に輝いた。
石川県からは初の快挙だ。
 
この大会は県予選から始まる。それも団体戦なのだ。
与えられたテーマに対して1チーム5枚の写真で勝負する。
写真の評価、ストーリー性、発表力などの総合評価で審査される。
結果は7位だったが写真の評価は最上位だった。
団体戦ではあるがその中から評価された写真は個人戦として全国大会へ進む。


まさか


受賞を先生から聞いた瞬間、「まさか」と思った。
高校3年生、最後の全国大会へ出たことで自分の中では区切りをつけていたからだ。
 
審査員で唯一のプロカメラマンが推挙した。
この1枚の写真からストーリー性を強く感じたと言う。
 
今年のテーマは「遇」。遇うとは出会い、それは旅立ちから始まる。
桜咲くプラットホーム、巣立ちの季節、女子高生、赤いかさ、そして雨。
 
皆さんはどんなストーリーを連想するだろうか。



田鶴浜高校写真部


「写真部楽そうやねぇ」と軽いノリで入部した。
先輩と一緒に楽しんで撮影していたのは束の間。先生から厳しい指導が入る。
シャッタースピード、絞り、ぼかし、逆光、被写体の引き、寄せ、
これらは理屈抜きで現場で体得するしかない。

良い写真はなかなか撮れない、2000枚に1枚だろうか。
同じ場所でも季節や天候で異なるので何度でも足を運ぶ。
 
この1枚も駅へ何度も通った。草陰から撮った、下から見上げて撮った、
ホームのあっち側、こっち側、そして渡り廊下を歩いた時、窓から何気なく撮った1枚だった。

「案外そんなもので、狙ったら良いものが撮れない。2年生の時それに気づいた」と話す萌香さん。
 
自信を持って撮影しても先生から「こんなもん写真じゃない」とつき返される。
ショックと悔しさで、価値観が違うと何度も文句を言ったが相手にされない。

そのうち解ってきた。
綺麗な花だけ撮ってもアピールしない、そこにテーマが必要だということを。

お正月、初詣客で賑わう金沢駅で和服女性の足元だけを撮り続けた。
祭りでみこしを担ぐ男たちの顔だけフォーカスした。
楽だと思った写真部、今は写真を考えない日が無い。

今回の受賞は「私としたら汗と努力の結晶なんです」と屈託無く笑う。
目標があれば頑張れるし、結果が出れば励みにも
自信にもなってくることを実感しているという。

将来の夢を聞いてみた。
「就職が内定しました。今は先生のカメラを借りていますので、自前のカメラとプリンターを買って、
結婚式など友人の思い出のシーンを撮って、きれいに編集して、プレゼントしたいと思っています。」 

なんと純で素直でチャーミングな女の子なんだろう。
 
素敵だと思った。



写真は奥が深く楽しいです♪