第7回 「輝け郷土の星」 空手の小﨑川 楓雅くん(山王小5年)
空手型試合で全国優勝
平成27年10月、大阪で開催された日本武道空手道連盟空手塾主催「第6回伝統型試合」で全4部門総なめの完全優勝、最優秀選手賞に輝いた楓雅くん。極真空手松下道場(七尾市郡町)の門下生である。驚いたことにこの大会は4連覇だ。そして9月に開催された極真カラテ型競技選手権国際大会の小学生上級の部でも優勝している。もはや小学生の世界チャンピオンなのだ。
才能と努力
型と言っても、試合はトーナメント形式で行われ、対戦相手との演舞が判定され勝負が決まる1対1の真剣勝負。両親の勧めで1年生の時入門、型の魅力に引き込まれていくのだが、師範は基本ひとつにしても覚えが早く光るものを感じたという。付き添いで来ていた父親もその奥深さに感化され、今では父と弟の3人で週3日道場に通い師範から型の意味や動きの理論を教わり稽古する。その意味と理論を頭と体に覚え込ませるためメモをとり、家で納得が行くまで親子で調べ尽くす。そして構え、突き、蹴り、防御など動きのひとつひとつの意味を確認し、技のキレや強弱、腰を入れるタイミング、目線、客観的に見てどうか、ひとつの動きをかなり細かく分析し研究をする。そこまで徹底することで、型のもつ意味、組手への応用がフッと見えてくると言う。毎日練習するために父親は自宅に練習場を作った。道場が休みの日はここで必ず2時間の練習をする。一年間一日も練習を欠かしたことがない。何がそこまでさせるのだろうか。
空手親子鷹
戦わずして勝つ
「真剣に練習して、試合に出て、結果が出てくるところが面白いです」と楓雅くん。松下道場では「挨拶・返事・後始末」の三原則を徹底させ、基本を教え、型に進む。型に精通して実戦がある。楓雅くんは実戦の組手試合でも優勝の実力がある。師範は勝って驕るな、勝って学ぶこともあれば、負けて学ぶこともあると武道精神を説く。奥が深く、極めても、極めても、ゴールがない自分との戦いの世界、そんな型に魅了され、とにかく型が好きだという。大会にエントリーした五十四歩(すーしーほ)は有段者が行う最難度の型である。これを見事に演舞した楓雅くん、11月の昇段試験に合格し黒帯を手にした。過去最年少の快挙である。その心構えを聞くと、「これからは後輩の指導もして、型も組手をさらに追及していきたい」と話す。小学生とは思えない気迫みなぎる演舞は見る者に感動を与える。小﨑川兄弟が入場すると会場がざわつき注目される。誰しもが空気感の違いを感じ、その一挙手一投足に震えを覚えると囁き、対戦相手の父兄が「あれじゃ勝てん」と呟く。戦う前に勝負がついていく。その気迫は稽古量の賜物である。己との戦いに挑み続ける気迫が、他を圧倒し、見る者に感動を与える。取材の最後に五十四歩の演舞を見せてもらった。静まる道場に一声が響き空気が張る。極めていくとはこんなことかと胸が熱くなる。 確かに凄い!
弟の優雅くんと自宅で稽古