こみみかわら版バックナンバー

第17回 「輝け!郷土の星」 米作り 山崎 航平君 藤井 賢一君(東雲高校3年)


日本一に輝く


昨年11月、山形県庄内市で開催された「あなたが選ぶ日本一おいしいお米コンテスト」高校生の部で最優秀金賞を受賞しました。予選はお米の水分、蛋白、アミローズ、脂肪酸など品質を科学的に分析し食味値を競い上位6校が決勝へ進みます。決勝戦は米作りについてプレゼンテーションと審査員の試食で美味しさが評価されます。決勝進出の連絡を受け、二人は出村豊先生と庄内へ向かいました。決勝のステージでは二連覇を狙う新潟県の新発田農業高校が写真を使い完璧なプレゼンをしています。二人は庄内へ向かう道中で何度も練習した学校と品種の紹介を精一杯発表しました。味の審査は炊きたてのご飯に高校名が伏せられ、番号が付けられます。参加者もそれぞれ試食しますが、これは美味しい!と思ったご飯がありました。出村先生がこれは自分達のお米だと断言しましたが、二人は信じていませんでした。ステージに立ち審査結果の発表を待ちます。「最優秀金賞は、品種ゆうだい21、石川県立七尾東雲高等学校です」と声が聞こえた時は「えっ!」「本当に!!」 と ビックリしました。 そして自分達はすごいことしていたんだと改めて思いました。



手際良く はざ掛け


米作りから学ぶ


山崎君は野球部、藤井君はサッカー部で活躍しています。外で体を動かすことが好きな二人は、総合経営学科で授業の一環として農業を選択し米作りを始めます。もちろん田んぼなどやったことがない二人ですが、ここで出村先生との出逢いがあります。先生は植物バイオの研究者でもあり 地元はもとより 海外でも活動をしてきました。能登の里山里海が世界農業遺産に登録されたことをキッカケに棚田の復元を提唱し、父兄の協力もあり現在は八田の棚田で米作りをしています。山の上の棚田は機械が入らず全て手作業です。初めての田んぼで足を取られ、しゃがみっぱなしで腰が痛くなります。それでも先生の指導に従い枠を転がし、田植えをし、除草も10数回行いました。
昔ながらのはざを立て、稲を刈り、それを結んではざに掛け、干してから脱穀します。山崎君は仲間と棚田に通っている内に、成長する稲穂や田んぼに愛着が湧いてきたと話します。藤井君ははざの一番下に掛けた稲が猪に全部食べられ、米作りの大変さを改めて感じたと話します。先生は素直にコツコツと作業する二人に、大きな目標も目の前の一つ一つに手を抜かず、一生懸命に打ち込むことの大切さを教えます。12月の「全国農業高校お米甲子園」でもコシヒカリで出品し全国83校中3位の得点で特別優秀賞を受賞しました。しかし二人は日本一になって初めて気づいたことがあると言います。それは1位は2位や3位と全然違うということです。今春卒業する二人は就職先が決まっていますが、社会人になっても目標を定め1位を目指したいと口を揃えます。日本一のお米を作った二人には、人生と言う田んぼで、自分という大きな穂を実らせ、大きく、大きく、羽ばたいてほしいと思います。



枠をコロコロ 田植え