こみみかわら版バックナンバー

第28回 「輝け!郷土の星」 弁論の土倉 早貴さん(鹿西高校1年)


全国青年弁論大会で最優秀賞


昨年11月、水戸市で開催された第62回全国青年弁論大会高校生の部で、最優秀賞に輝いた土倉早貴さん。まだ1年生ということで、原稿の完成と全国大会出場を目標に置いていただけに、石川県代表に選ばれての全国デビュー戦で、いきなりの最高賞受賞に本人もビックリ仰天です。弁論を始めるキッカケは田鶴浜中3年生の時でした。生徒会長をしていた早貴さんは、その立場から全能登私の主張発表大会に学校推薦で出場することになります。中学生と高校生が集まる会場で、中学生の多くは私はこう生きたいと自分の主張をするのに対し、高校生の社会性を含んだ弁論に驚いたといいます。しかしそれがキッカケで弁論に興味を持ち、進学した鹿西高校で迷わず弁論部に入部しました。


今日的課題


少人数の弁論部。顧問の岡山先生は入部して間もない早貴さんを、毎年5月に名古屋で開催される伝統の全国高等学校弁論大会に、出場が決まっていた先輩と共に連れて行きました。この大会は弁論のあと質疑がありその受け答えも審査対象です。大学生や一般からの質問に自信を持って聴衆を圧倒するくらいの応答をしないと高得点になりません。それは原稿の中身がどれだけ本物なのかを試されているのです。全国レベルの弁論を聴きモチベーションが一気に高まった一方で、今日的課題を自分の体験や考えで論旨をまとめなければ通用しないことを突きつけられたのでした。弁論大会では論旨60点、表現力40点でフィギュアスケートと同じく複数の審査員に採点されるのです。



石川県代表メンバーと


弁士


原稿が書けない! 何をテーマにすれば? 辛く苦しい日々が続きます。そんな時、家庭の授業で地域のお母さんと赤ちゃんを招いての交流が行われました。大の赤ちゃん好きで、子育ては幸せなこと、と思っていた早貴さんは、一人のお母さんから産後鬱の話しを聞かされ驚きました。どのお母さんも辛いと言っているけど、えぇ~、子育てってどういうことなんけ? と、この親子交流で今日的課題を捉え、原稿の糸口が見えてきたと言います。この授業で意気投合した関軒十萌(かんのきともえ)さんは、早貴さんとこの問題について話をしているうちに、弁論部に興味が湧きマネージャーとして入部。早貴さんの表現をチェックしたり、タイムを計ったり、また二人で論旨を練ったりとサポートを始めます。そうして「孤育てではなく、幸育てしたい」という原稿が出来上がり、県代表として全国の舞台に臨んだのです。早貴さんは、さらに論旨を深めるため、新聞は毎日読むようになり、本屋さんへ足を運び、ネットで関連する話題や情報を収集し、今でも推敲を重ねています。今年8月の全国総文に出場する早貴さんに、将来を尋ねると医療関係へ進み、地域社会で子育て支援の輪を広めたいと話します。表現力豊かな弁論部弁士から女子アナへと進む人も多いという中、世の中の課題を先取り提言し、自らも実践を志す。 
そんな若き弁士の誠が伝わり、 胸が熱くなる!



閑軒マネージャーと