こみみかわら版バックナンバー

第29回 「輝け!郷土の星」テコンドーの吉田 理壱くん(小丸山小5年)


全日本で準優勝!


昨年7月東京日野市で開催された全日本ジュニアテコンドー選手権大会30キロ未満の階級で見事準優勝に輝いた理壱くん。テコンドーは空手を源流に韓国で発展した近代武道です。理壱くんがテコンドーを始めたのは小3の時です。5歳から始めている空手がスランプになり、その克服のためにとお父さんが勧めました。石川県ではテコンドーの道場が無く、富山市まで通わなければなりません。お母さんはそんな無理しなくてもと反対したのですが、理壱くんはテコンドーに興味を示し、お父さんと一緒に頑張ると決めたのです。今も富山市まで週1回通って稽古しています。空手も地元七尾の武神政浦道場で週3日の稽古に励んでいます。似て非なる二つの武道の両立は難しく、空手の実力者でもテコンドーに転身して強くなる例は少ないと言いますが、理壱くんはテコンドーと空手を両立させ、空手甲子園と言われるJKJO全日本ジュニア大会にも予選を勝ち抜いて3年連続で出場しています。また昨年10月に横浜で開催された国際武道空手連盟の全国大会で5年生38キロ未満の部で3位入賞も果たしました。


功を奏す


テコンドーには空手と同じようにマッソギ(組手)とトゥル(型)がありますが、足のボクシングと言われるほど、足技でポイントを取る競技です。理壱くんは攻め込まれた時にかわして、ダイナミックな足技で反撃するテコンドーが面白いと言います。お父さんはテコンドーを始めてから空手にも幅が出て、やる気も出てきたと言います。家でも自主的に腹筋や腕立て、蹴りの練習を毎日欠かさず行なっている理壱くんですが、テコンドーとの出会いが功を奏したのでした。



理壱くん(左)
惜しくも準優勝


母の葛藤


今でこそ本人もやる気になって、お父さんと二人三脚で練習に励んでいますが、練習が厳しくやめたいと毎日泣いていた時期があったと言います。そんな時お母さんは、まだ小さくて練習の意味が理解できない理壱くんに、練習を指導するお父さんの思いを伝え、またお父さんには理壱くんの気持ちを読み取り、子供心を伝えて二人の間がギクシャクしないよう取り持っていました。母親として厳しい練習に耐える理壱くんの姿を見てかわいそうになり、テコンドーを続けることが果たして良いのか葛藤したと言います。それで理壱くんにテコンドーをやめる?と聞いたことがありました。理壱くんは少し考えて、「空手でパパと一緒に勝ち取ったトロフィーと同じように、今度はテコンドーでも頑張ってもう1回トロフィーをとってみたい」と答えました。この一言で覚悟を決めた理壱くんは結果を出す為あらゆる努力を惜しみません。勝つために階級を落とし、試合前に減量も経験しました。発育盛りの小学生が食事制限をするのです。理壱くんの枕の下にあったチョコレートの包み紙。結果という目標に向かってストイックなまでに心身の鍛錬を重ねる父と子。それを見守る母。 今でこそ良かったと笑えるが、という母の言葉に、事を成す重みが滲む。



富山の道場で稽古