こみみかわら版バックナンバー

第32回 「輝け!郷土の星」空手の小﨑川 優雅くん(七尾東部中1年)


小﨑川兄弟、全国大会で優勝

5月6日、滋賀県で開催された第11回極真杯全国型選手権大会の中学生の部で大会最高得点を出した優雅くんです。この大会では中2の兄楓雅(ふうが)くんと共に最高得点をマークし特例で兄弟のダブル優勝となりました。

優雅くんが空手を始めたのは幼稚園年長のとき市内にある現在の国際空手道連盟極真会館石川県支部の道場に兄と共に連れていかれたのがキッカケでした。実践ではなく型の稽古を始めますが、道場は実践の極真空手です。怖いなぁと思ったそうですが、1歳年上の兄楓雅くんと一緒だったので少し安心もありました。

目の上のたんこぶ

戦いという環境に身を置く事になった幼い兄弟ですが、意外な事に怖いより楽しいと思えたと言います。入門6ヶ月での石川県大会幼年の部で優雅くんは3位に入賞しました。翌年には小学1年の部で優勝、このとき兄楓雅くんも2年生の部で優勝。この時から二人は優勝回数を重ねていきます。なんと今日までに県大会、全国大会、世界大会を含めて弟優雅君は22回、兄楓雅くんは71回の優勝をしています。二人の差は、エントリーが同じで二人が戦うことになる大会では常に兄楓雅くんが優勝をするからです。

普段は魚釣りが大好きの優しい優雅くんですが、大会で兄に負けたときはとても悔しいと言います。いつか必ず兄に勝つ! 優雅くんにとっては兄がライバルであり目標の存在なのです。兄楓雅くんは優雅が力をつけてきたので油断できない存在になったと言います。父親もこの大会を観戦し、今回はひょっとして弟が勝つのではないかと感じたほどの演武でした。結果はダブル優勝となり、勝つ事は出来ませんでしたが、それでも初めて兄と肩を並べることになりました。



実は太公望

厳しい稽古

稽古は柔軟体操、型の稽古、そして組手を毎日欠かさず行ないます。週3日は道場で松下師範に稽古をつけてもらいます。小学生の時は父親が指導していた自宅稽古も中学生になった今は二人で稽古内容を決めています。

かつて兄楓雅くんを取材した時に肋骨にひびが入った状態で稽古をしている姿に驚きましたが、二人は型だけではなく組手の試合にも出場しています。しかし型の試合の方が緊張すると言います。組手は相手とパワーをぶつけ合い反射的に試合が進みますが、型は自分の内面と向き合う事になります。型の試合も組手と同じようにトーナメントで一戦一戦勝負して勝ちあがりますが、型はいかに忠実に決められた動きを演武するかが勝負です。手足の位置、腰の高さ、体の向き、目線、力強さ、緩急強弱、静動、呼吸、そして残心、この調和に個性が現れます。正確さと力強さ、そして華麗なる型を演じるには、たゆまぬ稽古と高度な精神性が求められます。

まだ幼さが残る優雅くんですが、演武を始めるときには全身に気迫がみなぎります。兄の演武の力強さ、美しさを認める優雅くんですが、必ず越える!と胸に誓い稽古を続けます。



兄 楓雅、弟 優雅