こみみかわら版バックナンバー

第34回  「輝け!郷土の星」ハンマー投げの 林 栄真くん(東雲高校2年)


石川県高校総体優勝

今年5月の石川県高校総体陸上ハンマー投げで53m02cmと北信越5県でも4位にランキングされる記録で見事優勝した栄真くんです。この記録ならインターハイ出場も視野に入り期待が高まります。そんな情報を得て栄真くんの取材に東雲高校陸上部を訪れました。

170cm、104kgのりっぱな体格の栄真くんは礼儀正しく、ハキハキとしたとても爽やかな好青年です。訪れた時はすでに北信越大会が終わり結果が出ていました。しかし残念な事に、通常の力を出し切れず46m62cmと惨敗だったのです。

思わぬ敵

重さ6kgのハンマーを直径2m13cmのサークル内で全身を使って投げ飛ばします。体力と技術以上にメンタルが結果に影響するようです。普段通りに投げれば大丈夫と周りは楽観していたのですが力を出し切れませんでした。県大会優勝と北信越大会惨敗。その結果を振り返ると、県大会では1投目で53mを投げたことで、後の試合運びに余裕が持てました。しかし北信越大会では力みが出て公式練習で体の動きが悪くハンマーが飛びません。この1本で不安が広がり頭が真っ白になったと言います。本番の1投目、2投目も記録が伸びず焦りが募ります。3投目までの20分間に立て直さなければなりません。

落ち着きがなく他の選手の投げるのをボーッと立って見ている栄真くんの姿を見た向田監督は、この期に及んでは技術的なアドバイスではなく、頭をフッきり状況を変える必要性を感じます。「ベンチに座れ!頭をリセット、目をつぶって学校の練習風景を思い浮かべ、何を練習して来たかポイントを思い浮かべて」とアドバイスしますが、時すでに遅くメンタルの勝負に敗れたのです。



石川県優勝


結果を受け止めて

中能登中学時代に砲丸投げで石川県優勝し全中に出場した栄真くんには、ラクビーで羽咋工業、航空石川から声がかかり、東雲の当時陸上部監督の中西先生からも誘いを受けます。小学生から陸上に親しんできた栄真くんには迷いはありませんでした。そして幸いにも東雲高校にハンマー投げ石川県高校新記録保持者の遠藤先生が着任してきたのです。遠藤先生は栄真くんを見て、足腰と身体能力が良いので技術を身につければ伸びると感じたと言います。練習は投げ込みを基本として、平日は2時間以上、休日は3時間、4時間とハンマーを持ちます。練習用の重い球をゆっくり回しどこで力を入れるのか確認し、軽い球を速く回すことで体と足の運びの正確さを身につけていきます。また鏡の前に立ちイメージトレーニングを行ないます。

北信越大会での悔しい思いをバネに重心を低くするという課題を克服してリベンジを誓います。向田監督は一番負けて欲しくない所に負けた。その分何倍もバネになってほしい。二度と味わいたく無い程の屈辱であっても、あの時の負けがあって良かった、あの経験のお陰で今がある、と言える成績を残さなければならないと練習への心構えを指導します。

一皮むける糧を得た栄真くん、今後の成長が楽しみです。



東雲高校陸上部