こみみかわら版バックナンバー

第43回 「輝け!郷土の星」ピアノの三野 さくらさん(鹿西高校1年)


第35回日本ピアノ教育連盟ピアノオーデション全国大会出場

七尾東部中3年生だったさくらさんは北陸地区大会で選ばれ、武蔵野音大シューベルトホールでの全国大会に出場しました。これは能登から初の快挙です。
さくらさんがピアノを始めたのは幼稚園のとき、お母さんが何か習い事をとピアノ教室に連れて行きました。初めて弾けた一曲は「かっこう」でした。
ピアノは家での練習が欠かせません。さくらさんは遊びたいのにめんどうくさいなぁーと思いながらも何となく続けていました。

小学校低学年ではレッスン中によく泣きました。先生の指導が素直に受け止められず、一生懸命やっているのに何で怒られるのか?努力が否定されたと思い悔しかったのです。
それでも2年生の時、コンクールで初めて受賞したことが励みになり、高学年になると意欲が湧きレッスンにも熱が入ります。
風邪をひこうが、何があろうが毎日欠かさず2時間以上の練習を続けました。

師との出会い

さくらさんには二人の先生がいます。地元の石田ゆかり先生と東京からレッスンに来て頂く辻井雅子先生です。辻井先生は七尾市出身で桐朋学園大学音楽学部の講師です。
故郷の子供たちのレベルを上げたいと30年以上も毎月欠かさず指導に来てくれます。

そして17回目となる「石川県NOTOピアノコンクール」を立ち上げ、今年8月に七尾文化ホールで開催されるこのコンクールには全国から参加者が集います。
辻井先生にさくらさんのことを伺うと、「小さい頃はそんなに調子が良い子ではなかったけど、今は十分に期待できるまでに成長し将来が楽しみだ」と評価して頂き、「教育連盟の全国大会に出場することは並大抵なことではないのですよ」と話してくれました。



石田先生、辻井先生と

芸術&スポーツ

同じ曲を基本どおりに弾いても、人によって表現が異なりこれが正解だということはありません。
同じ「ド」でも、柔らかい、硬い、深い、可愛い、など様々な音色があり、自分の個性に合った曲を作り上げます。
さくらさんは作曲家がどういう意図でその曲を作ったのか、その物語性を感じ自分なりにどう奏でるかイメージすると言います。

コンクールでは用意されたピアノを弾きますが、一小節を弾いた瞬間にそのピアノの個性をキャッチし、指のタッチや聞こえ方などを判断し、イメージ通りにピアノを操らなければなりません。
コンクールでは緊張で前のめりにならないよう必ず大きな深呼吸をしてから演奏を始めるのが、さくらさんのルーティンです。
どれだけ練習していても本番で一音の響きにミスを生じることがあります。

さくらさんはフィギュアスケートも華やかに見えるが、本当に地道な練習を繰り返し、練習で飛べた4回転ジャンプも本番で失敗することがあるのと同じように、ピアノも自分との戦いでスポーツのようだと話してくれました。
家族も練習時間を確保するため、生活リズムを工夫して支援を惜しみません。
ピアノを通して人間的にも成長していく、さくらさんです。



緊張のステージ