第44回 「輝け!郷土の星」ボートの谷一 菜緒さん(七尾高校3年)
石川県高等学校新人大会ボート競技で優勝
昨年、女子シングルスカル(一人両手漕ぎ・1000m)、4分40秒10の記録でついに優勝を成し遂げた菜緒さん。1年生の新人大会はダブルスカルに出場するも最下位、2年生の県総体でシングルスカル3位と徐々に地力をつけてきました。ボートは後向きでオールを漕ぎます。
競技で先頭に立つと他の選手の動きが見えるので心に余裕が生まれますが、最下位だと状況がまったく見えない辛いレース展開になります。
菜緒さんは今大会スタートで遅れを取ってしまいましたが、後半500mを過ぎてから先頭を捉え追い込んでいきました。
固定されたオールで水を掴み、全身の力で一気に加速し、加速しきったらオールを水から上げる一連の動作を繰り返し、体力の限界まで全力で漕ぎ切り津幡高校の原田選手に9秒差をつけての勝利でした。
きっかけ
中島中学3年生の時、父に誘われて海釣りに出かけ漕いだボートが面白かったことがきっかけとなり、ボート部がある七尾高校に進学を決めました。
部活体験では釣り用のボートと違って凄く細いボートにまずビックリします。
オールも長く、水面にも近いので恐さも感じましたが、漕いでみるとやはり楽しかったと言います。
晴れの日は七尾湾にボートを出し1時間半、雨の日は室内でウエイト、サーキット、エルゴメーターでのトレーニングです。
試合は湖水や用水路など水面が穏やかな漕艇競技場で行なわれますが、七尾高校は海での練習を余儀なくされます。波があるとバランスが崩れ思い通りの練習が出来ません。
監督の上田先生はボート競技の経験がありませんが、2級小型船舶の免許を取得し救助船を出して練習を見守ります。
めったに無い七尾湾が静水する日、「人とボートが一体となりリズミカルに水面を進む爽快感は何とも言えないんです」 と笑顔で話す菜緒さんです。
目指すはインターハイ!
七尾高校ボート部
現在、男子10名、女子12名の七尾高校ボート部は、旧制中学校の端艇部にさかのぼり100年以上の歴史を刻みます。
戦後七尾中学が新生七尾高校として発足するや昭和24年に漕艇部として復活し数々の戦績を残し平成に入りインターハイや全国高校選抜で優勝を重ね「ボートの七尾」と定評を得てきました。
昨年もOGで金大生の柿島麗さんが全日本新人選手権のシングルスカルで3位入賞をしています。
今年七尾高校120周年記念としてボート部OBよりシングル1艇と救助艇が寄贈されましたが、先輩から後輩へ物心両面に支援を続けるOBの存在が七高ボート部の伝統を支えます。
現在コーチ不在の中、見よう見まねの練習しか出来ず、技術は下手な方で力任せで漕いでいると自覚する菜緒さんですが、石川選抜に選ばれ強化練習に参加できるので、そこでしっかり学び獲得した技術を後輩に伝えたいと話します。
ボート競技は身長が高く足の長い方が有利です。160cmの菜緒さんは大きい方ではありませんが結果を出して伝統を繋ぎたいと決意します。
6月1日インターハイ予選、期待を背負い、挑む菜緒さんにエールを送ります。
伝統を繋ぐ、ボート部員!