こみみかわら版バックナンバー

第60回 「輝け!郷土の星」天文観測の 荒邦 早紀さん、小倉 千愛さん (七尾高校3年)


グローバルサイエンティストアワード「夢の翼」で優秀賞!

七尾高校SSC(スーパー・サイエンス・クラブ)天文班が昨年11月に
鹿児島県で開催された国際科学コンテストで見事、優秀賞に輝きました。

このコンテストは物理・化学・生物・地学・数学などの分野で「気になる点」や
「面白そうだ」と感じたことを、調べ研究してきた成果を発表するもので、
世界で活躍する科学者の卵たちを応援する大会です。

天文部の5名が部長の早紀さん中心に「日中における天体観測の可能性」をテーマに
した研究成果を発表しました。
天体観測とは星そのものを観測することですが、星は夜に見えるもの。

そんなある日、日中の月を観測していたら、偶然にも星が見え驚いた早紀さん。
お昼でも見える星があるんだ! 不思議だなぁ、見える星と見えない星。
この差は何なんだ? 早紀さんの疑問から始まった研究だったが、高校の天文部として
日中でも観測出来れば活動の幅が広がり、さらには天文部のある全国の高校と観測結果を共有し、
解析できれば面白いのではと部員の思いが募っていった。

日中の天体観測

雲がある空を見上げ着目したのは、星の明るさ(等級)と太陽との離隔だった。
明るくても太陽の近くの星は見えにくい。
どの星が見え、どの星が見えないのか出来るだけ多くの事象を得ることにした。

1年生の時の顧問だった福岡先生(七高OB・現在二水高校教頭)に連絡してアドバイスをもらった。
望遠鏡制御ソフトを使いCCDカメラの映像をコンピュータの画面で確認しながら、
シャッター速度を変化させて撮影を行い、もっとも見えやすい条件を探った。

また望遠鏡のフードを長くすることで、大気中の散乱光の影響を減少させられないかと
対物レンズ側に筒状にした黒画用紙を接続し、フードの長さを変化させ画像の鮮明度を探った。

ディスプレイ上に肉眼で確認できた68の天体について、それぞれの等級と太陽との離隔のグラフを作成。
その結果、離隔40度以上で4等級より明るい天体が昼に観測出来る事が分かった。

顧問の中村先生が論文作成を指導し、一連の研究成果をまとめ上げた。
調べてみると「昼の天体が見えるか」についての論文は過去に無かった。



星を見る

小学生の時から星を見ることが好きだった早紀さん。
星の成り立ちに興味を持つようになり、羽咋中学から天文部のある七尾高校に進学を決めた。

星を見ていると自分がすごく小さく思えるという。悩み事があると星を見る。
壮大な宇宙の中のチッポケな自分。小さなことに捉われている自分に気づく。

羽咋小からの同級生で同期の千愛(ちえ)さんは部長を支える良きパートナーだ。
小さい時から気心が知れた二人が協力し後輩をリードした。

天体ドームでの体験は日常と違う世界が広がりパラレルワールドのよう。
夜しか見えない星、昼は光り輝かないけれど、でも星はずっとそこにある。 と話す千愛さん。

日々の忙しさの中で、本当は有るものを無いと思い、無いものを有ると思って、彷徨って生きていないだろうか。
天体観測する郷土の星、真理を探究しているように見えた。