こみみかわら版バックナンバー

私の仕事は『一級建築士』です

247一級建築士

建築士の仕事とは


私の場合は、家を建てるお客様の理想を建築基準法の制限内で実現させていくことです。



きっかけ


実家が建設業(アオイ建設)だったので、子どもの頃から家を建てる仕事を見て育ち、建築に興味を持っていたのですが、高校二年生の時アメリカへ一年間留学し、そこでランドスケープ(公共施設の外回りや公園、街路樹など)のデザインに興味を持ちました。それで大学進学時に建築かランドスケープか迷いましたが、横浜国大の建築学科に進みました。



道のり


アメリカは靴の文化で、庭も外にあるひとつの部屋だという感覚で活用します。日本では家と庭の間に縁側があり、庭は家から眺めるものです。その違いに興味を持ち、家を建てる時、外の空間デザインはどうあるべきかを学ぶため、卒業と同時にイギリスへ二年間ガーデンデザインの勉強に留学しました。イギリスでは自然のような庭でも、花の色や高さ、開花時期など緻密に計画し植栽されています。
イギリス滞在中に家と庭、そしてその先にあるものは、そこに暮らす人の生活そのものであると気付きます。そして自分が何をしたいのかと見つめた時、ベースは建築に置いて、暮らし方をも設計し、提案したいと考えるようになりました。



現在の取り組み


能登島を拠点に活動しています。海外生活の中で「暮らす」とはどういうことか考えた時、故郷 能登の豊かさに気付いたのです。恵まれた自然や食材、培われた生活様式、そして伝統の日本建築など、改めて見つめ直すと、まさに宝の山のようです。
建築を通じて能登の豊かな暮らしを伝え、残すことが建築士としての私の使命だと思っています。自宅を新築した時、釘を使わない木組みでの伝統工法で建てました。棟梁が三十年ぶりだと感慨深く木材を刻み、他の職人さんも粋に感じて伝統技法にて取組んで頂きました。畳は家の田んぼの稲藁を藁床に使い、手作業で縫って仕上げて頂きました。年輩の職人さんは知恵があり機転が利きます。こちらの思いを伝え、話合いをすると、教えられることがたくさんあります。便利さを追求するということは、全てが簡単になっていくことのように思えます。伝統や本物を繋ぎ残していくことは、あえて不便を意識することであり、その不便を暮らしの中で楽しむことではないかと思います。



これから


地元の素材や技術を、建築に活かすことで、将来に繋いでいけたらと思っています。「能登暮らし」のスタイルを自ら実践することで、田舎でこんなに楽しく豊かに暮らせるという事に共感してくれる人が増えたら良いと思っています。
お客様の「暮らし」を尊重し、土地の気候や風土にあった設計を行うことで、「暮らすこと」を楽しめるような家づくりを行い発信していきたいと思います。