こみみかわら版バックナンバー

第82回 能登島別所町


在所名の由来


能登島には在所が二十あるけど、ここだけが海に面していない山の中の在所でね。
海辺から離れた別の所なので別所かなと思うよ。中島町の別所と区別するため、通称島別所と呼ばれているよ。


昔の生活


能登島ゴルフ場に面した山間に田んぼがあるけど、
そこを古別所と呼んでいてね、元の集落はそこだったんだ。
いつの時代か在所中を焼き尽くす大火があってね、今の場所に移ったと伝わっているよ。
昔は自給自足の農業をしながら燃料用の薪を出荷していたようだね。
能登島は加賀藩の流刑地でね、今でいう政治犯や文化人が送られてきたんだ。
別所にも三 名が遠島されたと記録があるよ。


島八太郎伝説


言い伝えによると遠い昔に能登島の草分けとなる八人衆が島に渡って来てね、
島の中を八ヶ所に分けて住むんだが境界を作らず、兄弟以上に仲良く、
お互いに助け合って暮らしていたというよ。
何か問題が生じれば皆で集まって相談をするんだが、
その集まる場所がこの在所だったんだね。

別所の神社は八所大明神が祭ってあって島中の祈願所でもあったんだ。
小さな在所の中に昔は神主が二人と坊さんが六人住んでいたと伝わっているよ。


猫踊り


能登島の秋祭りの締めくくりが十月十九日の別所の祭りなんだ。
祭りの最後のご招待の家で最後を飾る演目が猫踊りなんだよ。
能登島の獅子舞は越中の流れを汲んでいるけど、「にわか」には
島独自のものがいくつかあってね、この猫踊りはその中でも別所だけのものなんだ。

在所の人も全員楽しみにしてるし、踊る青壮年団員も真剣だよ。
最近この踊りが注目されてよくマスコミが取材に来たりするよ。
若い人は外で所帯を持つことが多くなったけど、
この祭りを伝承する使命があるから必ず戻ってくるよ。
小さい在所だからこそみんなの顔が見えて家族みたいもんだし、
祭りが在所の大黒柱となって強い絆で結ばれているんだよ。


かなこの一言


猫踊りの映像を見せて頂きました。演じている方はもちろん、
見ている方達も、とても楽しそうで生で見たいと思いました。