こみみかわら版バックナンバー

第91回 中能登町 花見月


在所名の由来


この優雅な地名は全国でここしかないんだよ。
室町時代の古文書では花見規と出ているよ。
奈良時代には治安警備のため諸国に軍団を置くんだけど、能登では隣在所の瀬戸に置かれたんだ。
花見月はその端に位置していることから、端で見張る要塞で端見塞(はなみずき)と呼ばれ、
それが由来だという説もあるよ。


昔の暮らし


中能登町は織物で栄えた地域だけど、明治時代に3軒の機場から始まっているんだ。
その1軒がこの在所でね、水車を動力とし織機12台で始めたらしいよ。
眉丈山系から流れる水が豊富なんだね。
またそんな時代に在所の青年が博打など悪遊びしないようにと、
在所で青年互学会という夜学を設立し時間割も作って毎晩勉強していたんだよ。
修身、国語、算術、地理など在所の大人が先生になって教えていたんだね。
その建物を建て替え、現在は花見月互学会館として集会所になっているよ。

昭和前半までは二男、三男の多くは大阪の縁者を頼って出て行ったんだ。
多くは銭湯か豆腐屋なんだけど、実はこの在所から大阪に出て銭湯で
成功した人がいて、それが大阪の銭湯の始まりなんだ。
テレビ番組の探偵ナイトスクープが大阪銭湯のルーツを探るため取材に来ていったよ。


現在の花見月


眉丈山系からの清流が30ha以上の田んぼに直接入るので良いお米が出来るんだね。
農事組合法人の能登花見月が一手に営農を請け負っているけど、
昨年の米‐1グランプリで全国280点の中から「みずほの輝き」が準グランプリに輝いたんだ。

それと海抜225mの眉丈が丘の展望台付近一帯を昭和42年からパイロット事業として
草地造成したんだけど、今そこで能登最大級規模の太陽光発電建設が進んでいるよ。

将来の事は分からんけど、金沢へも輪島へも1時間で行ける立地と、
花見月という地名と、里山で牧歌的な雰囲気と人情があるから、
何かを見出せればと思っているところだよ。


まぁの一言


眉丈ヶ丘で、小鳥の声を聞き、牧歌的な雰囲気の中、どこか落ち着きました。
互学会、曳山、獅子舞、団結力のある在所です。