こみみかわら版バックナンバー

第73回 私の仕事は「自動車板金業」です


私の仕事は「自動車板金業」です
中島 能成(なかじまよしなり)さん 68歳
仕事歴 48年

自動車板金業の仕事とは

私の場合は自動車の板金塗装の他、アルミ板金加工・FRPボディ制作、そしてカスタムカー制作を手がけています。

オークションで三十億円

世界で唯一イタリアの博物館にあるディスコボランテの落札額が三十億円です。
アトランティックは世界で4台しかないイタリア車で、これも三十億円で落札されました。
日本に上陸したことのないこの2台が、レプリカのオリジナルカーとしてここにあります。
もちろん車検も受けてあるので道路を走るんですよ。

初志貫徹

子供の頃から工作が好きでしたが、実は壊すことの方が多かったです(笑)
物づくりに興味があっても中身が解らない。それで調べるために壊すんです。

中学、高校時代はいろんなものを壊して中身を見ていました。
元々車が好きだったので金沢の職業訓練校の板金科に進みました。

卒業後2年間勤め独立します。
鉄板やアルミを叩き溶接をして、仕事を軌道に乗せるのに一生懸命でした。2

8歳の時、雑誌で渡辺さんという人が制作したオリジナルカーを見て
ものすごく感動し心が揺さぶられました。
そもそも車を作りたいと思って進んだ道だったのですが、その心に火がついたんです。



ものづくり

しかしどうして作ればよいかわかりません。
しかしすでに人間がやっていることなので自分でも出来るはずだ!
と決意し独学を始めます。
材料は何か、どうするのか、本を見たり人に聞いたり、モーターショー行っては情報を仕入れます。

そして自分で作って見るんです。
自分の手が動かないと物は出来ないし、良し悪しは作らないと分からないのです。
だから失敗は一杯あります。それは楽しくも苦しいんです。
時間もかかるし、うまくいかないし、嫌になるんです。

しかし、それを乗り越えないとものづくりは出来ない。
言った以上はやり遂げなければならないし、自分自身で壁を破っていかなければ
次のステップへ上がれない。

そうして完成した時は、人には言えないくらい嬉しいんです。
我が子が出来たくらい嬉しいんですよ。
この嬉しさがあるから苦しさも楽しいんです(笑)

初めての作品がポルシェ356です。
この完成でオリジナルカーの基本技術が出来上がり、
この40年間で5台のオリジナルカーと消防車など子ども向けのレプリカは何台も制作しました。
今はマツダのロードスターをベースにコブラを制作中です。
東京や金沢からイベントへの出展依頼があると運転して出向きます。
そこで注目され仲間の和が広がるのも楽しみです。

オリジナルカーは道路を走らせるので陸運局と事前協議を繰返しながら造っていくのですが、
最近の車はハイブリッドや電気自動車などに変ってきているので、
このスタイルでの制作がどうなっていくのかわかりません。
どんな職業もただ単に楽しい仕事というものは無いと思います。

苦しみがあるからこそ楽しい。
環境が変化しても、職人魂を 持ち続けて楽しみ続けたいと思います。


中能登町能登部下 中島板金 ☎0767-72-3399
2016年取材