こみみかわら版バックナンバー

第100回 私の仕事は『ジェラートマエストロ』です。


祖母の隠し味

仕事歴3年 堀川 宙さん 21歳

戸惑い

宙さんですね?とお客様にお声を掛けられることもあり戸惑っています(笑)。
昨年4月にお店がオープンしてまだ1年が経っていないのですが、多くのメディアに取材されなんだか恥ずかしいです。ジェラートマエストロとは日本ジェラート協会が正しい知識で安全で安心で美味しいジェラートを提供するための認定資格で平成22年からスタートした制度です。
現在102名が合格していますが私が日本最年少の合格だったことから注目が集まったようです。

きっかけ

小学校から帰ると祖母が毎日台所で料理をしていました。牛乳配達店は朝早いので午後4時には祖父の晩酌のおつまみを作っていたのです。私は祖母の横に立ち興味深く見ていました。煮干をお鍋に入れそれをまた出したり、甘味を出すのにお塩を使ったりと小学生の私には不思議なことがいっぱいあったのです。
祖母は料理の隠し味だよと教えてくれました。隠し味に興味を持った私は食べ物を作る仕事がしたいと思うようになり、作文に大きくなったらアイスクリーム屋さんになりたいと書きました。
高校は迷わず鵬学園の調理科に進み、卒業後は東京八王子の「ダルチアーノ」に就職しました。植木耕太社長はイタリアからジェラートを日本に初めて持ち込んだ人です。数多くのレシピを手がけレシピで味が分かるという凄い人です。2年間指導をして頂き本場イタリアにも出向いて昨年帰ってきました。



人気のトリプル

二人三脚

父は家で仕事の話をしなかったので、普通に牛乳屋さんの仕事をしているお父さんだと思っていました。今、父と一緒に仕事をするようになって改めてスゴイ人だと感じています。
ジェラートが美味しいのは、父たちが開発した能登ミルクがあるからこそなんです。能登ミルクは能登の酪農家6軒で搾られる牛乳です。現代は牛乳の生産性を高めるため牛一頭から35ℓ搾乳するのが一般的ですが、能登ミルクを作る牛は一頭から12ℓしか搾れません。非生産性ですが子牛が一日で飲む量がそれくらいだそうです。放牧主体で農薬を使ってない牧草で飼育した牛からなど9項目の基準を満たしたものが能登ミルクになります。能登ミルクが商品化できパティシエの辻口博啓さんに飲んで頂いた時に「やっぱ美味いわー」の一言が大きな励みになったそうです。

能登ミルクが完成してもすぐに売れたわけではありません。投資をして商品が完成しても売れなければ困ります。だから父も必死だったのだと思います。実は父がジェラートを作り卸していたのです。そんな姿を見てそれなら私が父に代わってジェラートを作ってあげたいと進路が決まりました。父は私の夢を叶えるために投資をしてお店を開いてくれました。今でも朝早くから牛乳配達をしてお店の開店から閉店まで手伝ってくれます。そんな姿から学ぶ事が沢山ありますが、まずは自分達が楽しんで仕事をしなければならないということです。自分達が楽しむことでお客様が楽しめるお店になります。だから父も私も毎日いろんなアイデアを考えています。私は地元食材と祖母から教わった隠し味を使ったジェラートを試作し、父は店内にいろんな仕掛けを工夫しています。お客様が「わぁ~」とか「かわいぃー」と入って来ますが何よりの褒め言葉だと思っています。そして何より一番楽しんでいるのは父だと思います(笑)。常に前を向いて仕事をする父のことを最近はちょっと尊敬もしています(笑)。これからも驕ることなく頑張っていきたいです。



3月5日、幕張メッセでの全国大会に出場!

和倉町 能登ミルク
☎0767-62-2077