こみみかわら版バックナンバー

第105回 私の仕事は『移動スーパー』です。


何でもお申し付け下さいませ!

仕事歴3年 道下 利明さん 54歳

移動スーパー「とくし丸」

「また来て~、待っとるよー」そういう言葉が嬉しくて毎日がとても充実しています。
前はお弁当のお店をやっていたのですが体調を崩して辞めました。
ちょうどそんな時に移動スーパー「とくし丸」がテレビ東京の番組「ガンブリア宮殿」に
紹介されていたのを見たのです。あんなに喜んでくれる人がいる仕事なら自分もやってみたい
と思っていたところ、どんたくが「とくし丸」をやるということをメディアで知りすぐに
話を聞かせて頂き、石川県初の移動スーパー「とくし丸」一号車を担う事になりました。
その三ヵ月後に金沢で二号車が走り現在五号車まであります。

それぞれが個人事業主となっての独立採算制です。
能登地区では今のところ私一人です。エリアは七尾市街地を中心に近郊を週五日間回っています。
「とくし丸」とは徳島県が発祥の地であることと、買物弱者の救済ということから篤志の意味も
込めて名付けられたそうです。

無駄な買い物はさせない

全国的な高齢化の中で買物が自由に出来ないお年寄りが急増しています。
便利な世の中になったのですが生活に必要な魚・肉・野菜の生鮮三品すら
買えない人たちがいるのも現実です。
冷蔵設備が付いた軽トラの「とくし丸」に刺身、鮮魚、肉、惣菜、豆腐や油揚げ、野菜に果物、
卵に醤油や味噌、お寿司、お米、飴にジュース、トイレットペーパーやシャンプー等の
生活必需品を一杯にして決められたルートを時間通りに移動していきます。
皆さん心待ちにしていて二十人も集まる場所もあります。

私は商品を用意して売りに歩くのではなく、買物に出られないで困っているお年寄りに代わって、
どんたくから買い物をして届けているという、いわゆる買物代行だと思っています。
お米でも調味料でも人それぞれに好みが違いますが、そんな声を聞かせて頂いて
後日届けるようにもしています。買物とは本来楽しいことなのに、
お客様が自分の思いと違う物を我慢して買っていく姿は悲しいことです。
欲しいものを喜んで買っていく時の笑顔が私の喜びとなっています。



さぁ、出発!

もう一つの価値

この仕事をしていて感じるのは、直接的であれ間接的であれ人は多くの支えがあって
生かされているということです。私自身多くの人との出会いから絆が生まれ、
やさしい笑顔や言葉を頂き生きる勇気や元気を貰っています。
朝どんたくベイモール店で今日回るお客様の顔を思い浮かべながらピッキングして
「とくし丸」に積み込みます。
出発するときどんたくの女性スタッフさんが笑顔で「いってらっしゃい」と声をかけてくれると
「よし!今日も頑張るぞ!」という気持ちになります。移動先では常連となった地域の方々から
色々な事を教えてもらいます。



支えあいの「とくし丸」

私は食習慣に片寄りがないか、食が細くなっていないかなど感じることがあればアドバイスし、
「元気でおってね」「体に気をつけてね」と声掛けします。
また常連さんの顔が見えないと「あの人どうしたんね?」と聞いたりします。
まさしく、とくし丸が井戸端の役割も果たしているのです。
そんな事から警察の方々と協力して地域をゆるやかにですが見守る役割も担うようになりました。
またラジオ七尾の番組「七尾もしもし探検隊」で移動先から電話中継もしています。
お顔の見えるお客様に、見て、触れて、感じて、選んで、楽しんで買って頂くために、
雨の日も風の日もそして雪の日も走り続けたいと思っています。

「とくし丸」一号車
☎090-2121-7533