私の仕事は「森林施業プランナー」です
森林施業プランナーの仕事とは
山主に間伐、枝打ち、伐採、植林など森林の手入れを提案しその計画、実施までを山主に代わって行い森林全体の保全・活用を行います。
きっかけ
二十八歳まで金沢の建築設計事務所で働いていました。長男であり結婚を機に七尾へ戻る時、地元で生涯働ける仕事は何か考えました。記事で林業の担い手不足を知って、色々調べるうちに興味が湧き、森林組合に就職しました。父は公務員ですが、祖父は木挽きだったのでその血が騒いだのかもしれません(笑)。
道のり
山へは四、五人の班体制で入り、班長の指示で下刈り、枝打ち、植林などの作業を行いますが、これまでの人生で鍬すら持ったことがありません。ましてや下刈り機やチェーンソーなど扱えないので苗木や肥やしを運ぶことが初仕事でした。線を引く仕事から力仕事ですので最初は辛かったです。しかし山の仕事は日々メリハリがあります。汗を流し仕上がっていく達成感、成果が目に見える満足感、仕事を終え家で飲むビールの美味さ、心身ともに健康になっていきました。現在はプランナーとして組合員さんに山の保全と活用を提案し施業の実施計画を立てています。
心がけていること
ちょうど慣れて来た頃です、枝打ち機で指を切りました。見ると皮一枚で指先がぶら下がって血が噴き出しています。それを見た途端、気絶しそうになり、同僚におぶってもらい病院へ運ばれました。幸いに皮一枚でぶら下がっていたのは手袋で指は大丈夫でしたが、その時の傷をお守りとし、いかなる場合でも安全第一を心がけています。
意外な話
山の境界がわからない山主さんが増えています。そんな場合は法務局の公図を見て現地調査します。尾根や沢を歩いて境木や境石を探したり植生を見たりして隣の山主に確認します。昔はサラリーマンでも休日になると山に入り手入れをしていましたが、世代が変わり放置された山が増えているのです。森林組合で施業した山は簡易GPSで測量し、将来のために管理図面を作成しています。
これから
担い手不足、木材の採算割れなど林業が衰退してきていますが、日本の国土の約七十%は森林で、その恵みは計り知れません。息苦しそうな山を見ると不憫でなりません。まだまだ手入れ不足の山が多くあります。日差しが入り、風が通り、杉の枝が青々として、下草も程良い感じで生えた健康的な山。故郷の山を保全し活用し管理することが私の使命だと思っています。
中能登森林組合七鹿支所 ☎0767‐57‐0600