こみみかわら版バックナンバー

第109回 私の仕事は『理学療法士』です。


人生に寄り添う

仕事歴4年 秋山 美紅さん 29歳

痛いです!

リハビリ中に暴力的になった患者さんがいました。
その時は驚いて、「痛いです!」とムキになってしまいました。
上司に相談すると悪気があるのでなく病気だからお互いにカッとなっていても仕方がないよ、と諭されその通りだと反省しました。
患者さん自身が思うように体を動かせないことの歯がゆさ、いら立ちが募ったのだと思います。
今なら無になって患者さんが落ち着くまで待ちます。

理学療法士の仕事は病気やケガで立つ、座る、歩くなどの動作が出来なくなった機能を
回復するためにリハビリを行います。

ありがとう

私は東京都出身です。
スポーツが好きで高校、大学とチアリーディング部に所属し、プライベートでもスキューバーダイビングを楽しんでいました。
そんなこともあってスポーツトレーナを志し法政大学スポーツ健康学部に進みました。
スポーツジムでアルバイトをしていましたが大学三年で就活が始まる時に「進む道がちょっと違うかな…」と思うようになりました。
健康な人のパフォーマンスを上げるのではなく、障害で困っている人を助けたいと思うようになったからです。

私は子供の頃から「ありがとう」という言葉が大好きでした。
「ありがとう」は言っても言われても嬉しい言葉で、善い事ばかりです。
そんな「ありがとう」を言われるような仕事に就きたいとの思いに駆られ、大学四年の春に理学療法士の資格を取得するための専門学校夜間部に入学し大学と掛け持ちで勉強を始めました。



理想の環境

専門学校の時に都内の病院で実習しました。
患者さんは最初に急性期専門の病院でリハビリを受けますが、少し良くなると今度は回復期専門の病院に転院を余儀なくされます。
そして生活期にまで回復するとまた専門の病院に転院しなければなりません。
人口密度の高い都会では目の前の患者さんを手際よくさばいていくという感じで、人として関わっていくという感じがせずどこかピリピリしていました。

就職先を探すとき父に相談しました。
医療関係に従事している父が「こんな病院もあるよ」と紹介してくれたのが恵寿総合病院でした。
恵寿の経営方針を見て患者さんを急性期、回復期、生活期から介護まで一貫してお世話する理想の環境を知り「これだ!」と思いました。
急性期から介護まで、入院、外来、通所、訪問で三百六十五日リハビリ出来る体制にしてある病院は少ないと思います。



理学療法士

私の担当は十五名で院内と訪問でリハビリしていますが、みなさん楽しんでリハビリをしてくれるので有難いです。
理学療法は奥が深く、脳、骨折、循環器などの疾患ごとに治療方法が違います。
技術面の知識がどれだけあっても十分だと言えません。
患者さんの最適なリハビリを選択するためには、技術面だけでなく個人の価値観を理解することも大切です。
地道で時間をかけ根気よく続けなければなりませんが、訪問リハビリで歩けるようになった患者さんに「出来なくなった事が、また出来るようになるということは、本当に嬉しい事なんだよ」と言われた時、改めてこの仕事に就いて良かったと思いました。

一人一人と目標を共有し、寄り添うことで信頼関係が生まれ、共に人生を考える時、また私自身の人生も見つめているように思います。

恵寿総合病院 リハビリテーションセンター